バイパス中学校

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  • バイパス中学校
    • ある特定の高校に入ることを目的として優秀層が集まる中学校。ブログ主の造語。ただし、その特定高校とバイパス中学校の間には系列関係は存在しない。

 古くは、日比谷高校に対する麹町中学校湘南高校に対する横浜国立大学附属鎌倉中学校などがあります。現在でも、地方には、県立トップ校に対して大量の進学者を輩出する国立大学教育学部附属中の多くがその役割を担っています。
 バイパス中学校の長所は、優秀な生徒を集めることで授業がスムーズに進み、公立中や国立大附属中にもかかわらず、実質上、先取り教育が行えることです。また、対象高校側も、先取り教育を行った生徒を受け入れることで、高度な授業が可能になり、難関大学へ多くの進学者を送り出せるようになります。
 逆に弊害も大きく、バイパス中の多くは学区制限がある公立中や国立大附属中であり、入学のための転居や越境が行われます。中には一時的な住民票移動で入学したり、国立大附属中の抽選による不公平感、学区内の地価上昇、また上位高校に入るために内申書の操作が疑われたりと、社会問題になることもあります。
 実際、行政側が監視を強めてバイパス中を普通の中学校に戻すこともあります。ただし、それでもバイパス中の需要は残るので、別の中学校が自然発生的にバイパス中に成長します。バイパス中を根絶するためには、教育熱を冷ます必要があります。それが、上位高校のレベルダウンを意図した学校群や小学区制の導入の遠因になったと思われます。


 そして、都立復権の勢いが増すと共に再びバイパス中学校が出現してきます。中学受験関係者は、中学受験に優秀層が集まり、公立小中のゆとり教育の元では、都立重点校の実績は今後頭打ちになると、何度も予測しては期待を裏切られています。理由は既にバイパス中に類似した手法が行われているからです。私立一貫校から直接高校受験で日比谷高校に進学する人もいれば、私立一貫校に入学後、適度な時期に公立中に転校し、都立重点校に合格する例、中学受験はしたものの一貫校に進学せず、そのまま公立中に進学する例が増えてきます。そのうち、一部の私立中が都立重点校への合格実績を売りに、バイパス中学校化して、経営的に生き残りを掛けてくるでしょう。
 そんなバカなと思うでしょう。合理的な一貫教育を放棄して高校受験なんてありえないと思うでしょう。しかし、過去において、転校を強要する越境入学や住民票移動を行うこともそれほど合理的な行為ではありませんでした。潰しても潰しても、バイパス中学校は自然発生的に出現します。
 公立トップ校の復活とは、バイパス中も含めた再編のことを意味します。公立トップ校は中学募集などする必要ないのです。今まで公立中や国立大附属中が脱法的な手法でバイパス中になっていたのが、今度は、一部の私立中が合法的にバイパス中として、公立トップ校に優秀な生徒を送り出すようになります。

補足

  • 2011/12/07: 原題は『トンネル中学校』でしたが、名称の印象が否定的過ぎると感じたので、『バイパス中学校』に変更しました。