仮面の公立王国 3 - 1996年の衝撃

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 1996年に浦和高校の東大合格者数が50名から24名と半減しました。これは1960年以後の最下位記録で、1965年以来40名を割ったことがない学校が、東大合格者数で激減しました。30年間ありえなかった事態です。
 前年度との閉鎖通学圏を区分別で比較します。

区分 1995 割合 1996 割合 増減
茨公 51 2.90% 45 2.75% -0.15%
茨私 15 0.85% 25 1.53% 0.68%
千公 96 5.46% 83 5.08% -0.38%
千私 20 1.14% 20 1.22% 0.09%
埼公 87 4.95% 45 2.75% -2.19%
埼私 18 1.02% 20 1.22% 0.20%
東公 94 5.34% 69 4.22% -1.12%
東私 1031 58.61% 1024 62.67% 4.06%
神公 73 4.15% 70 4.28% 0.13%
神私 274 15.58% 233 14.26% -1.32%
合計 1759 1634

 首都圏全体では不振でしたが、東京都国立私立勢は微減にとどまり、大幅に占有率を高めました。そして、一番、占有率が減少したのが埼玉県公立校です。次に、簡易移動モデルを算出します。

区分 増減 茨公 茨私 千公 千私 埼公 埼私 東公 東私 神公 神私
茨公 -0.15% -0.15%
茨私 0.68% 0.15% 0.29% 0.24%
千公 -0.38% -0.29% -0.09%
千私 0.09% 0.09%
埼公 -2.19% -0.20% -1.99%
埼私 0.20% 0.20%
東公 -1.12% -1.12%
東私 4.06% -0.24% 1.99% 1.12% 1.19%
神公 0.13% 0.13%
神私 -1.32% -1.19% -0.13%

 まず、目につくのが、茨城県私立です。何があったのでしょうか?実は、この年に江戸川学園取手が二桁合格を達成し大躍進しました。これは、茨城県内の公立、隣県の千葉県公立のみならず、東京都に流出していた優秀層を引き戻して達成したことがわかります。
 また、神奈川県私立は不振です。当時の資料では特定校が問題ではなく全体的に不振だったようです。そして、東京都内の国立私立は、茨城県からの流入が微減だったもの、埼玉県と東京都の公立高校から大幅に流入を増やしました。
 そして、埼玉県公立は、県内の私立に多少の流出はしましが、大半が、都内私立への流出です。これは、3年前の1993年の高校入試、6年前の1990年の中学入試に理由がありそうですが、真相は今後の調査が必要です。