今年は、例年判明が遅い二桁合格校のお茶の水女子大附属とフェリス女学院が既に判明している、早い段階から閉鎖通学圏分析が可能になりました。まず、東大合格者の都県・区分別分布数を紹介します。
都県・区分 | 2013 | 割合 | 2014 | 割合 | 増減 |
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茨城・公立 | 33 | 1.96% | 45 | 2.68% | △0.72% |
茨城・私立 | 25 | 1.49% | 20 | 1.19% | ▼0.29% |
千葉・公立 | 43 | 2.56% | 39 | 2.33% | ▼0.23% |
千葉・私立 | 89 | 5.30% | 74 | 4.42% | ▼0.88% |
埼玉・公立 | 76 | 4.52% | 68 | 4.06% | ▼0.46% |
埼玉・私立 | 39 | 2.32% | 36 | 2.15% | ▼0.17% |
東京・公立 | 140 | 8.33% | 138 | 8.23% | ▼0.10% |
東京・私立 | 970 | 57.74% | 949 | 56.62% | ▼1.12% |
神奈川・公立 | 45 | 2.68% | 58 | 3.46% | △0.78% |
神奈川・私立 | 220 | 13.10% | 249 | 14.86% | △1.76% |
合計 | 1680 | 1676 |
今年は、ドーナツ化現象の年でしょうか、首都圏でも都心から遠い茨城県と神奈川県の伸張が目立ちます。茨城県は、水戸第一高校は久々に好調で、土浦第一高校と並ぶまでに復調しています。
また、神奈川県は公立も私立も好調で、南と県全体では、久々に300名台に乗せています。神奈川県の300名台は1998年以来で、当時は東大で3500名の合格者を出していましたから、比率でいえば今のほうが高まっています。また、桐蔭学園はまだ100名前後の合格者を出していた時代です。
区分 | 増減 | 茨公 | 茨私 | 千公 | 千私 | 埼公 | 埼私 | 東公 | 東私 | 神公 | 神私 |
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茨公 | △0.72 | \ | 0.29 | 0.48 | |||||||
茨私 | ▼0.29 | -0.29 | \ | ||||||||
千公 | ▼0.23 | \ | -0.23 | ||||||||
千私 | ▼0.88 | -0.43 | \ | -0.45 | |||||||
埼公 | ▼0.47 | \ | -0.47 | ||||||||
埼私 | ▼0.17 | \ | -0.17 | ||||||||
東公 | ▼0.10 | \ | -0.10 | ||||||||
東私 | ▼1.12 | 0.23 | 0.45 | 0.47 | 0.17 | 0.10 | \ | -2.54 | |||
神公 | △0.78 | \ | -0.78 | ||||||||
神私 | △1.76 | 2.54 | -0.72 | \ |
今年のドーナツ化はどう分析すべきでしょうか。一番、分かりやすいのが、茨城県公立と神奈川県公立です。両者とも県内の私立から優秀層を奪ったとしか解釈しようがありません。ところが、一方、千葉県、埼玉県、東京都は公立も私立も不調です。千葉県と埼玉県は、県内で公立と私立が綱引きをした形跡はないので、どちらとも都内私立に流出したと見てよいでしょう。公立のほうは単純で、2014年の受験生が入学した2008年は中受ピークの年だったことから、今年が最後の優秀層の都内流出学年だったのかもしれまん。この予想が当たるかは来年以後の結果によります。
また、私立のほうも都内流出ですが、埼玉県私立は微減であることから、すでに私立の都内流出と止まっています。千葉県は渋谷幕張が不調だったということが全てのようです。
そして、首都圏北部から流入超過であったにも関わらず、都内私立が減らしたのは、神奈川県民のプライドだと思います。首都圏南部は北部と違い、地元指向の流れは見えていなかったのですが、今年になって顕在化しました。これは地元に都内に匹敵する東大輩出校が成長したことから、わざわざ都内に通う必要性がなくなったのでしょう。埼玉県・千葉県の私立成長は単なる通学の利便性ですが、神奈川県はステージ的に異なり、ブランド戦争で都内に勝ったということを意味します。今後は都内御三家という区切りが意味をなさなくなるでしょう。