東大早慶合格率ランキング2010(高入生編)の読み方

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 中高一貫校の高校募集は、各校で募集規模が大きく違います。単純に欠員補充程度の規模から、少数精鋭で中入生と同レベルの募集をしたり、高校募集が主体で大規模の募集を行い、中入生を少数精鋭の特進コースとして扱っている学校もあります。

 『志望校を決める』の取材に答えてくれた学校は、中入生と高入生を区別して資料を出すことが学校のセールスポイントになると判断しているはずです。逆に、情報公開しない学校は、その数字を出すことは学校のイメージに何の影響も与えないか、悪影響を与えるかのどちらだと判断しています。

  • 中入生の優秀さをアピールしなくても学校全体で優秀さが認められている。
  • 中入生と高入生の格差が大きく、公開するとどちらかの募集に影響がでる。
  • 同じ高校生に対して、道義上、中入生と高入生を区別したくない。

 中入生と高入生が完全別クラスの場合は公開しやすいですが、混合クラスの学校は確かに公開しづらいものがあります。

 さて、非公開の事情をあれこれ推測しても建設的でないので、公開した学校だけにコメントをします。ただ、あまりに千差万別なので、ここでは高入生で東大合格者が複数名出ている学校についてコメントします。

  • 豊島岡女子、東大6名
    • 中学受験でも難関の学校です。女子の場合、高校募集で東大合格が見込める私立進学校はこの豊島岡女子しかありません。あとは、国立大付属校か、公立校になります。国立大附属校同士、公立校同士は受験日が重なるので必然的に豊島岡女子が併願候補として選ばれます。
  • 西武学園文理、東大4名
    • 意外なことに、埼玉県では私立でも高入生からの東大合格者がかなりいます。埼玉県立校の選抜は、内申書が比較的重視され、筆記テストも県内全校共通です(最近は一部に選択問題が導入されました)。トップ校の選抜ともなると、筆記試験の合格最低点が8割を越え、しかも内申書はオール5に近く、生徒会や部活に主体的に参加していることが要求されます。3年後に難関大学に合格できる実力を持った生徒でも、筆記テストでケアレスミスをした場合、筆記以外の要素で県立校に不合格になります。私立にも実力のある生徒が相当数進学しています。
  • 城北、東大2名
    • 中入生の東大合格者が18名に対して、高入生の合格者は2名となっています。高入生の数が少ないので、割合で補正すると、中入生6%、高入生2.5%ぐらいです。都内で高校募集を行っている私立では典型的な例かも知れません。
  • 東邦大付東邦、東大2名
    • 千葉県も埼玉県と同じく比較的優秀な高入生が、私立に流れてくるのかもしれません。意外なことに、3倍の生徒がいながら、中入生からの東大合格者はゼロです。学校がこの資料をよく公開したと思います。東邦大東邦クラスの学校になると、東大合格数よりも医学部進学がアピール材料なのかもしれません。ただ、広く教養を身につけ、各分野で活躍する人材を育成する進学校が、多くの中堅私立で医進予備校になりつつあるのは、寂しい気もします。
  • 開智、東大2名
    • 開智も埼玉県の中高一貫校です。高校募集のほうが定員が多く、中入生は少人数の特進コースという扱いです。西武学園文理と同じく、高入生でも優秀な生徒を集めています。

 高入生から東大合格者を複数名出している5つの学校のうち4つが、偶然なのかバトルフィールド埼玉の関連校です。豊島岡女子や城北からの東大合格者の出身都県は不明ですが、今後、高校受験で都立高校に優秀層が流れていくのは必然で、私立校の高校募集から東大合格者を出すのは困難になってきます。ただ、埼玉県からアクセスが便利な高校ほど、埼玉県からの流入が期待できるので、高校募集でも他の都内私立よりは相対的に優位に立てる可能性が高くなります。