※この記事は4月11日に書いています。5月9日に更新しました。
これも良く言われることですが、浪人は予備校の力なので、高校の実力を測るには、現役だけに限定すべきだという疑問です。まず、二浪はさすがに少数派で、統計的にはたいした影響はないので、一浪しか考慮する必要はありません。
それであれば、明確に「いえ、一年浪人したぐらいで、高校3年間、または中高一貫6年間の基礎力がひっくり返ることはないですよ」と言えます。どんな高校を出ていても、予備校の力さえあれば、東大に受かるというのなら、みんな浪人します。でも現実では9割以上の受験生が現役時代に惜敗した大学に雪辱できる程度だと思ってください。特に旧帝大のような難関国立大学は現役時代に基礎力を付けていないと、予備校でいくら演習問題をこなしても到達点は限られています。常に一年勝負の予備校では、基礎力に時間を割くことはないので、難関国立大学については二浪しても、勉強時間の割には伸びることは期待できません。(ただし、私立文系に関しては、受験テクニックを駆使すれば、一年間でかなり伸びることは否定しません。)
現役だけの資料が容易に得られるときは、分析材料として活用しますが、積極的に現浪別の資料を集める努力はしていません。大学の合格数とは、「該当高校で在学中に身に着けた基礎力をもとに現役もしくは一浪で合格できる受験生数」とみなすことができます。
若干古い資料ですが開成を例にします。
- 受験年基準の東大合格者数
受験年 | 卒数 | 現役 | 浪人 | 合計 | 実績確定年 |
---|---|---|---|---|---|
2007 | 402 | 128 | 63 | 191 | 2007 |
2008 | 400 | 129 | 59 | 188 | 2008 |
2009 | 401 | 84 | 54 | 138 | 2009 |
2010 | 400 | 111 | 57 | 168 | 2010 |
- 卒業年基準の東大合格者数
卒業年 | 卒数 | 現役 | 浪人 | 合計 | 実績確定年 |
---|---|---|---|---|---|
2006 | 395 | 104 | 63 | 167 | 2007 |
2007 | 402 | 128 | 59 | 187 | 2008 |
2008 | 400 | 129 | 54 | 183 | 2009 |
2009 | 401 | 84 | 57 | 141 | 2010 |
受験年基準だと、2007年卒業の現役と、2006年卒業の浪人が合算されます。これが通常の2007年東大合格実績です。卒業年基準だと、2007年卒業の現役と、2007年卒業の浪人が合算されますが、2007年卒業の浪人は2008年に受験するので、2008年にならないと2007年卒業生の実績が確定しません。開成のように卒数が毎年ほぼ一定の学校の場合、浪人の実績を前年度に合算するか当年度に組み込むか大した違いはありません。
やたら現役だけにこだわって、他人のデータに文句をいう人は、データ集めの苦労や、移動平均の概念を知らないのだと思います。それでも現役にこだわるのであれば、自分でデータを集めるしかないですね。