最後は東京大学です。東京大学については評価基準を変えています。私大の場合、単年度の合格率で伸び率を比較していました。これは、中堅進学校でも私大の合格者は毎年延べ50人以上おり、その絶対数が増減したり、卒業生に占める割合が増減することは明らかに単年度で何らかの原因があると推測できるからです。
ところが、東大で毎年50人以上合格者を出すような学校は10校もありません。そのような著名校はどのブログでも注目をあびているので、ここでわざわざ数値化する必要もありません。
一方、東大に10人前後合格するような中堅進学校では、年度によって大きく合格数が変動します。これは、その学校のカリキュラムと東大の試験問題の相性や、ムードメーカの有無などの理由が考えられます。他にも安全指向の学年、冒険指向の学年様々です。単年度の勢いで結論付けては本質が見えません。
このブログでは、単年度のブレを補正する情報として、早慶の合格率を加重配分(東大早慶合格率)して評価したり、複数年度にわたる東大推定在籍者数(過去4年間の東大合格者数合計)を利用しています。今回の記事は東大にフォーカスしたいので、東大推定在籍者数で勢いを見ることにします。
- ↓東大推定在籍者数伸び率、○印は男子校、●印は女子校、◎印は共学校
伸び率 | 東京私立 | 埼玉公立 | 埼玉私立 |
---|---|---|---|
200%-299% | ●浦和明星(200.0) | ||
160%-199% | ◎開智(160.9) | ||
125%-159% | ◎大宮(125.0) | ◎栄東(150.0) | |
114%-124% | ○城北(114.1) | ○熊谷(114.3) | |
112%-113% | ○川越(112.5) | ||
104%-111% | ○巣鴨(104.7) | ●浦和一女(107.7) | |
102%-103% | ●桜蔭(102.7) | ||
100%-102% | ○武蔵(102.3) | ◎市立浦和(100.0) | ○川越東(100.0) |
97%- 99% | ●豊島岡(98.5) | ○浦和(97.7) | |
94%- 97% | ○開成(97.3) | ○春日部(94.4) | |
94%- 94% | ○本郷(94.4) | ||
85%- 93% | ○海城(94.4) | ◎西武文理(85.7) | |
00%- 84% | ◎春日部共栄(81.8) | ||
(参考) | (◎西)(115.2) | (◎日比谷)(101.1) |
推定在籍者数では4年分の合格数のうち1年分だけが入れ替わるので極端な伸び率はでません。したがって、安定して東大合格者数を出している東京私立勢は、城北が114.1%で最高、海城が94.4%で最低です。同様に教育改革のフットワークが比較的重い埼玉公立勢も大きな変化はありません。ただ、大宮だけは、125.0%と急速に伸びてきたことがわかります。両者とも100%前後に集まっていますが、東京私立勢が下位に振れ、埼玉公立勢が上位に振れていることも読み取れます。
埼玉私立勢は大きく明暗が分かれています。ただし、80%台の2校は、推定在籍者数の分母が小さいので、振れが実体より大きめに出てしまい、それほど心配する数字でもありません。一方、浦和明の星、開智、栄東は躍進傾向にあると言ってもいいでしょう。また、市立浦和、川越東など推定在籍者数の分母が小さいにも関わらず安定した数値を示しているので、推定在籍者数による評価は、学校の趨勢を見るのに安定した指標として使えます。