東大合格発表2018 - 渋谷教育学園幕張の東大合格者数

※この記事の投稿日は3月25日です。
サンデー毎日 2018年03月25日号 [雑誌]

 私は、特定の学校の特定年度の合格実績についてあまり語らないほうです。特に不振校については、伏字にしていたります。多くの場合、単年度であれば、学校指導の失敗が主要因だからです。もちろん、学校指導の失敗が数年も続くと、それは、そのまま学校の評判となり、優秀層に敬遠され、凋落のスパイラルに陥ってしまいます。

 早速、渋幕の不振を震災と結びつける記事がでましたが、何か震災が全てであり、震災の影響が終わるとまた復活するという論調です。
 参考のために、2002年から2017年までの1月22日募集の受験者数と合格者数を紹介します。他に帰国子女や2月2日募集もありますが、渋幕入学者の大半を占めるのは、やはり、1月22日の合格者なので、その数と偏差値に注目します。

入学年 受験数 合格数 倍率 偏差値 卒業年 東大 コメント
2002 1946 872 2.23 62/65 2008 35
2003 1954 928 2.11 64/64 2009 28
2004 2519 943 2.67 64/66 2010 47
2005 2301 930 2.47 66/67 2011 34
2006 2443 928 2.63 65/68 2012 49
2007 2482 760 3.27 66/69 2013 61
2008 2144 814 2.63 67/70 2014 48
2009 2121 732 2.90 67/70 2015 56
2010 1788 734 2.44 67/69 2016 76
2011 1893 864 2.19 69/71 2017 78 震災前
2012 1689 757 2.23 69/71 2018 48 震災後
2013 1820 779 2.33 69/71 2019
2014 1777 723 2.46 69/72 2020
2015 1762 743 2.37 69/72 2021
2016 1852 759 2.44 69/72 2022
2017 1963 724 2.71 69/72 2023

 ブロゴスでは、2011年から2018年を紹介しています。残念ながら、合格実績の出ていない2013年以後のデータを除くと、合格実績の予測の材料となるのは、2011年と2012年の2回だけです。もっとデータを増やし、それ以前を見て、同様の傾向があるか証明する必要があります。2011年と2012年だけだと、震災の影響で受験者が数が減り、東大合格者数も減ったと感じますが、それ以前のデータを見たところ、受験者数の増減も偏差値の増減も単年度の東大合格実績と一見相関がありそうで例外もあるという状況です。結局、たった2回のデータだけでは何もわかりません。
 もちろん、この記事は中学受験塾のポジショーントークで書かれていることを加味すれば、そんなものかと思いますが、渋幕関係者が、「今年の実績が悪いのは震災のせい」だと考えていたら、それはそれで由々しき問題です。震災以外の要因、例えば、渋谷教育学園の教育方針が東大の入試問題傾向に敏感に反応しすぎているなどの要因を疑うべきです。

東大合格発表2018 - 目次

東大理三級理一志望者 - 2018年

※この記事の投稿日は3月21日です。

 今年も大学合格実績の分析を始めますが、まだまだ合格実績が確定してないようなので、最初に「東大理三級理一志望者」の分析を始めます。これは、東大理一、理二受験者で、理三の合格最低点を上回った人数を推定するものです。今年は、理三と理一、理二の合格最高点が例年より乖離していることから、全科類で採点基準を統一したという噂があります。実は、過去において、科類ごとに採点基準が異なるのではないかという噂がありました。真相は不明ですが、今年の分析をしたところ、やはり、昨年以前は科類ごとに採点基準が異なっていたと判断せざるをえません。
 まず、分析結果を紹介します。

標準 合格者 左の 合格者 左の 理三 左の 理三
偏差 最低点 偏差値 平均点 偏差値 最低点 偏差値 合格数
理一2018 45.0 319 52.3 352 59.5 392 68.2 94.5
理二2018 39.6 311 55.4 336 61.7 392 75.8 9.1
理三2018 43.5 392 56.7 418 62.7 392 56.7 98.0

 理一、理二、理三の標準偏差は、それぞれ、45.0, 39.6, 43.5 です。それぞれの科類に合格するための、最低点とその偏差値を推定します。理一、理二、理三は、319(52.3), 311(55.4), 392(56.7)です。理三の合格最低点は392点です。理一、理二で、392点を取るために必要な偏差値を推定すると、68.2 と 75.8 です。正規分布表から各科類の受験者で該当偏差値を上回った人数を推定します。それぞれ、94人と 9人です。

理三 理一 理二 理三 理系 備考
最低点 理三級 理三級 合格数 理三級
2005 382 68 23 80 171 旧後期
2006 395 71 19 80 170
2007 386 62 15 80 157
2008 378 88 22 90 200 新後期
2009 380 110 44 98 252 定員増
2010 364 152 63 100 315
2011 393 76 32 100 208
2012 383 187 33 100 320
2013 370 160 23 100 283
2014 372 113 27 100 240
2015 377 175 25 100 300
2016 389 118 21 98 237 後期無
2017 408 137 26 98 261
2018 392 94 9 98 201

 上記の表は、2005年から、理三合格最低点を上回った理一と理二の理三級合格者数を推定したものです。2018年は、理三の後期募集を廃止した2009年以来、もっとも理三と他科類が乖離した年となりました。
 特に理二合格者で理三の合格最低点を上回ったのはわずか9人となっています。これは、理二から進振りで医学部医学科に進める10人を下回っています。いままでは理二から医学科に進むのは、理三に合格するより狭き門でしたが、今年は初めて理二から医学科に進むほうが広き門になりました。
 一方、理一からは94人が理三の合格最低点を上回っています。例年よりは少ないものの、今年も理一の上位100人は理三に匹敵するほど優秀であるという法則は維持できたようです。優秀な受験生がすべて医学科を志望してしまうのは、日本の科学技術の発展にマイナスなのでこれはこれで良いことでしょう。本来なら、もっと増えてほしいものです。

東大理三級理一志望者 - 目次

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