確かに、開成は若干7年周期の影響が認められますが、他の周期も相関関係があるかもしれません。6年周期について見てみます。6年周期に意味があるとすれば、「教科主任持ち上がり制」です。「教科主任持ち上がり制」とは、同じ教師が中学1年生から高校3年生まで持ち上がって、6年間にわたって教えることです。そして卒業と同時に中学1年の教師に戻り、また高校3年まで持ち上がっていきます。長所としては、「学年の変わり目で、カリキュラムが前後しても調整ができる」「同様に、カリキュラムの引継ぎの手間が省ける」「進学実績の責任所在が明確である」など上げられます。教師や学校側からみると、無駄が省けて、責任所在が明確なので非常に省力化された制度です。短期間の進学実績の好不調に影響されない伝統校では、この制度を採用している学校はかなりあります。
しかし、生徒側から見ると、短所も目立ちます。「レベルの低い教師に当たった場合、6年間影響を受ける」「実績が不振の場合、学校にとっては反省材料で済むが、生徒にとっては一生の死活問題である」、学校側から見ても「対外的に信用を失うような大不振になった場合、名門伝統校から転落する危険性がある」。特に、生徒側はリスクヘッジできない制度です。さて開成の6年周期を紹介します。
- 開成, 18年間東大合格数:3111, 6年周期相関率 77% → 18%
年度 | 位 | 158⇔205 | 年度 | 位 | 164⇔181 | 年度 | 位 | 138⇔190 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1994 | 2 | ######## | 2000 | 5 | # | 2006 | 5 | |
1995 | 4 | ## | 2001 | 3 | ###### | 2007 | 1 | ########## |
1996 | 6 | 2002 | 6 | 2008 | 2 | ######### | ||
1997 | 3 | ###### | 2003 | 1 | ########## | 2009 | 6 | |
1998 | 1 | ########## | 2004 | 2 | ####### | 2010 | 4 | ##### |
1999 | 5 | # | 2005 | 4 | ### | 2011 | 3 | ###### |
1994年と2000年の6年間では相関率77%で、2000年と2006年の比較では18%です。前回は相関関係が高く、今回は相関関係が低くなります。
- 前回差 = |2-5|+|4-3|+|6-6|+|3-1|+|1-2|+|5-4| = 8 (77%)
- 今回差 = |5-5|+|3-1|+|6-2|+|1-6|+\2-4|+|4-3| = 14 (18%)
まず、7年周期と同様に確率の計算表を紹介します。
差 | 分布 | 累積 | |
---|---|---|---|
18 | 36 | 0% | |
16 | 100 | 5% | # |
14 | 136 | 18% | ### |
12 | 148 | 37% | ####### |
10 | 137 | 58% | ########### |
8 | 93 | 77% | ############### |
6 | 46 | 90% | ################## |
4 | 18 | 96% | ################### |
2 | 5 | 99% | ################### |
0 | 1 | 99% | ################### |
6年周期では組み合わせは720通り(=6!)です。開成の場合、偶然の可能性が高いと前置きして、少し踏み込んだ推測をすると、以前は、教科主任持ち上がり制だったのが、6年毎に不振が来て評判が良くないので、カリキュラムの平準化を行うような改革が行われたとも言えます。