今回は、筑波大附属駒場です。定員160人ながら東大に100人以上の合格者を出す精鋭校です。中学募集120人、高校募集40人です。
- 筑波大附駒場、21年間東大合格数 1891、7年周期相関率 60% → 0%
- 筑波大附駒場、18年間東大合格数 1670、6年周期相関率 58% → 96%
- 筑波大附駒場、15年間東大合格数 1397、5年周期相関率 36% → 16%
- 筑波大附駒場、12年間東大合格数 1124、4年周期相関率 0% → 83%
5年周期は理論的裏付けがなく偶発事象でしか起きないので、相関率が引くいのは当然として、7年周期は前回相関率60%で優勢だったのに対して、今回では0%と全くなくなっています。逆に、4年周期は前回相関率0%から、今回は83%と優勢になっています。前者は中学募集に関係あり、後者は高校募集に関係あります。また、教科主任持ち上がり制で具現しやすい6年周期の傾向が前回も今回も出ています。今回は96%とかなり強い相関率になっています。ただ、4年周期と6年周期は同じ偶数で、隔年現象(2年周期)と被りやすいので、同じ傾向が出やすいものです。
年度 | 位 | 65⇔102 | 年度 | 位 | 79⇔112 | 年度 | 位 | 75⇔106 |
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1991 | 7 | 1998 | 6 | 2005 | 2 | ######### | ||
1992 | 5 | #### | 1999 | 2 | ####### | 2006 | 5 | ### |
1993 | 6 | ## | 2000 | 3 | ##### | 2007 | 6 | ## |
1994 | 3 | ##### | 2001 | 4 | ##### | 2008 | 7 | |
1995 | 4 | ##### | 2002 | 7 | 2009 | 1 | ########## | |
1996 | 1 | ########## | 2003 | 1 | ########## | 2010 | 4 | ######## |
1997 | 2 | ###### | 2004 | 5 | 2011 | 3 | ######### |
上記の表は7年周期のもので、下記の表は6年周期のものです。所詮、国立のすることだから全て偶然でしょう、と斬って捨ててもいいですし、実際、その可能性が高いのですが、あえて勘ぐった解説を付けておきます。
まず、6年周期ですが、国立大附属校は実験校は、私立と違い進学実績が学校の命運に関係することはありません。ひょっとしたら、学年ごとに実験されている可能性もあります。「この学年は6年間通してこの方針で行ったら実績が悪かった」、これは偶然なのか必然なのか見極めるために、同様の方針を次の6年間で繰り返す可能性もあります。そして、予想通り実績が悪かったら、実験校の生徒諸君には気の毒ですが、教育学的には非常に大きな成果になります。
さて、相関率0%と前回と今回で見事に打ち消された7年周期と4年周期ですが、筑駒には調査書採点があり、合否が単純に学力試験だけで決まるわけではありません。好調だった翌年の募集では、調査書採点の標準偏差を大きくして高学力の入学者を少なくすることも可能です。(唯一、勘繰りとは違い、統計的に証明できそうなのは、好調の翌年に競争率が上がり、無作為の抽選が行われた場合、結果的に、上位層を取りこぼすことはあります。ただ、今の卒業生が入学した頃にはすでに抽選は有名無実化していたはずです。)
年度 | 位 | 79⇔104 | 年度 | 位 | 79⇔112 | 年度 | 位 | 75⇔106 |
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1994 | 4 | ### | 2000 | 3 | ##### | 2006 | 4 | ### |
1995 | 5 | ## | 2001 | 4 | ##### | 2007 | 5 | ## |
1996 | 2 | ######### | 2002 | 6 | 2008 | 6 | ||
1997 | 3 | #### | 2003 | 1 | ########## | 2009 | 1 | ########## |
1998 | 6 | 2004 | 5 | 2010 | 3 | ######## | ||
1999 | 1 | ########## | 2005 | 2 | ####### | 2011 | 2 | ######### |
いや、筑駒関係者なら、それは勘繰りすぎでしょうと言うでしょう。実際、私の知り合いにも筑駒OBはいるので、その指摘は正解です。筑駒関係者なら、学校では受験対策なんて皆無、受験対策は外部塾任せなので、学校のカリキュラムと東大の合格数は全く因果関係はないと言うでしょう。
そもそも筑駒は地区トップ校*1ですから、前年度の実績なんて関係なく学区内の最上位層が志望します。入学者全員が、そのまま東大に合格してもおかしくないレベルです。ただ(浪人も含めて)100%東大に合格しないのは、マラソン効果*2の影響でしょう。
ちなみに、筑駒は医学部指向が弱い学校です。東大103名に対して、(東大理3を除く)国立大学医学部は14名です。だから、東大合格圏にいながら医学部に大量流出することはありません。私の仮説では、中学1年生から高校1年生の間に、なんらかの理由で勉強に打ち込めなくなる生徒が毎年1割出ると見ています。東大合格レベルを維持できるのは、理論上は、中学募集で120×0.9^4=78、高校募集で40×0.9=36です。合計114です。これは、2003年に記録した112名に近い数字です。
とにかく、この学校に対して、周期なんて野暮なことは言うなということでしょう。