通学圏、競合校、地区トップ校

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 通学圏とは、該当校からみて通学可能な地域です。ドアツードアで1時間30分以内が目安です。国立大附属校の場合は、学校側が通学区域を指定します。公立一貫校の場合は、通常、管轄自治体内が通学区域になります。
 競合校とは、該当校の通学圏内にある類似の特徴を持つ学校です。生徒側は、複数の学校が選べるので便利ですが、学校側は、常に競合校を意識する必要に迫られ、募集活動に制約をきたします。ただし、長期的に見ると、各校の改革を促進するので、競合のない状態よりも、学校の魅力が増すこともあります。
 地区トップ校は、その地区に住む最も優秀な生徒が選ぶ学校です。普通に考えると、地区トップ校は、その地区で一番偏差値の高い学校ですが、通学時間と授業料の要素により複雑な状況を生じます。例として、「筑駒、開成、栄光、渋幕」をあげます。ただ、これは現時点の状況で、将来はまた違った状況になります。
 開成は毎年80名程度の辞退者がでます。数年前に断片的に見た資料では、辞退者の7割が筑駒、2割が栄光、その他では渋幕の名前を見かけました。(資料と言っても、複数のソースからデータを引っ張っていますので、私の予断も入っています。)
 まず、開成・筑駒ダブル合格の場合、通常は筑駒を選びます。学費面で明らかにメリットがあるからです。この場合、筑駒は地区トップ校になります。(厳密にいうと、抽選が実施された年度は、地区トップ校とは言えないかもしれません。)
 ところが、筑駒は通学区域の制限があるので、横浜市南部や千葉市の受験生は、筑駒を受けられません。この状況では、開成と栄光、開成と渋幕を併願することになります。ダブル合格の場合、遠距離通学を避けて、近隣の栄光や渋幕を選ぶ地区もあります。この場合、該当地区では栄光や渋幕が地区トップ校になります。
 それでは、開成は地区トップ校ではないのでしょうか?実は、さいたま市船橋市の受験生にとっては、地区トップ校です。理由は、筑駒の通学区域外であり、通学時間や学費の面で、近隣に開成を上回るメリットのある学校はないからです。開成は、地元の東京都では地区トップ校ではありませんが、埼玉県と千葉県の主要部で地区トップ校になるという奇妙な状況が作り出されています。
 地区トップ校の概念は、首都圏に限らず、地方や高校受験でも共通しています。多くの場合、県庁所在地にある旧ナンバースクールが地区トップ校になります。