早大学部別調整数2019 - 導入

※この記事の作成日は3月24日です。

 ブログの表題が『東大早慶合格率から見る首都圏進学校』なのに、早慶の扱いがあまりないことに後ろめたさを感じていました。今年は早慶を取り扱うために、週刊誌の早慶特集号を『サンデー毎日』『週刊朝日』とも購入しました。牛丼一杯の値段ですし、年に一度のことですから、読者の皆さんも購入して実際の記事を読みましょう。
 さて、前々から、早慶の学部別の調整数と調整率を出してみたいと思っていました。調整数とはさまざまな難易度の大学、学部に偏差値を指標とした難関係数を設定して合計したものです。調整率とは調整数を卒業生数で割ったものです。

  • 出現率:正規分布確率密度関数*1で対象偏差値以上の出現確率
  • 難関係数=基準学部出現率÷対象学部出現率
  • 調整数=Σ(対象学部難関係数×対象学部合格数)
  • 調整率=調整数÷卒業生数

 このブログの看板指標である東大SK率も七帝SK率も基本は偏差値に基づいた調整率です。ただ、偏差値というのは各予備校の恣意的な思惑が作用しますし、粒度や継続性にも不安があります。それに、最上位層が受験する旧帝大早慶の偏差値は募集人員と相関関係が高いので、募集人員に基づいて理論*2を再構築しています。例えば最難関校の偏差値が70とすると、確率密度関数の出現率は 0.022750 です。募集人員を半数にすると、出現率も半数になるので0.011375 になります。これは、偏差値では72.8になります。現実でも偏差値はそのように推移*3します。
 一方、最難関大学を除くと単純に募集人員では理論化できないので、便宜上予備校の偏差値を利用することにします。『早大学部別調整数2019』では駿台予備校の偏差値を使用します。出展は『大学受験プラス*4』で、同一学部に複数の学科がある場合、最も偏差値の高い学科の値を採用します。

偏差 学部 出現率 難関係数
65 政治経済 0.066807 1.00000
65 0.066807 1.00000
63 国際教養 0.096801 0.69015
62 0.115070 0.58058
62 先進理工 0.115070 0.58058
61 社会科学 0.135666 0.49244
61 基幹理工 0.135666 0.49244
60 0.158655 0.42108
59 文化構想 0.184060 0.36296
58 教育 0.211855 0.31534
58 創造理工 0.211855 0.31534
55 人間科学 0.308538 0.21653
50 スポーツ 0.500000 0.13361

 昨年取り組んだ『国公立医学部2018*5』では難関係数の大きいものから紹介しましたが、最初から上位陣の顔ぶれが固定されてしまい、意外性がなかったので、今回は、難関係数の小さいものから紹介していきます。

最難関校の偏差値はこう決まる

※この記事の作成日は3月27日です。

 大手塾による合格可能性偏差値というのがあります。受験生の合否を追跡調査した結果、模試の偏差値毎に合否の割合を出し、ロジスティック曲線に近似して、割り出したものです。でも、実際のところ、それほどきれいにロジスティック曲線に近似できるわけでもなく、予想外の合否もあるので、大雑把な数値になるのが実情です。
 偏差値50あたりの学校の場合、通学時間、学費、校風など様々な要素が関係して、多様な受験パターンがあるので、合否の実績から帰納的に求めるしかありませんが、最上位層が目指す学校は受験パターンは限られており、それぞれの学校の合格者数で偏差値がほぼ決まります。
 例として、開成、麻布、筑波駒場で計算してみます。

  • 2018年入試の実合格者数とその実際比と近似比
募集人員 実合格数 実際比 近似比
開成 300 388 1.000 1.000
麻布 300 378 0.974 1.000
筑駒 120 128 0.330 0.333

 開成、麻布、筑駒の実合格者数の近似比は、きれいに「1:1:0.333」になります。受験パターンで次の仮定を行います。

  • (1) 最上位層は2月1日は開成と麻布を受験し、開成受験者のほうが偏差値が高い
  • (2) 最上位層は2月3日は筑駒を受験する。

 これは仮想モデルであり、実際には、開成合格圏でも麻布を受験する人は多数います。ただ、私の知っている麻布OBは、こういう仮想モデルで下位に置かれても、一々気にしない度量があるので、他の麻布関係者からも文句がくることはないと信じます。

  • 最上位層の席次と合格校の例
1-120 121-240 241-360 361-480 481-600 601-720
2月1日 開成 開成 開成 麻布 麻布 麻布
2月3日 筑駒

 360位以内であれば開成に合格し、720位以内であれば、麻布に合格します。一方、筑駒は120位以内という狭き門です。模試で360位以内に出会う機会を1とすると、720位以内は2、120位以内は3分の1です。それを出現比とします。

出現比
開成 1.000
麻布 2.000
筑駒 0.333

 この出現比さえあれば、最難関校の偏差値は演繹的に求めることが可能です。

開成、SAPIX*1偏差値66

出現比 偏差値 出現率 理論値 実際値
筑駒 0.333 0.018266 70.9 70
開成 1.000 66 0.054799 66 66
麻布 2.000 0.109598 62.3 60

 出現率は、標準正規分布*2確率密度関数から導き出せます。その出現率に出現比を掛けて、標準正規分布表から該当する偏差値を求めます。それが演繹的に求めた理論値になります。実際値は、模試と合否を追跡調査して大手塾が帰納的に算出したものです。
 開成が偏差値66の場合、その3分の1の狭き門である筑駒は71になり、2倍の広き門である麻布は62になります。筑駒は理論値より高め、麻布は理論値より低めです。実際には他の難関校もあるので、単純なモデルどおりにはなりません。それでも、SAPIX は上位層が厚いので、追跡調査で有効なサンプルが多く、理論値と実施値が比較的一致しています。

開成、四谷大塚*3偏差値71

出現比 偏差値 出現率 理論値 実際値
筑駒 0.333 0.005955 75.2 72
開成 1.000 71 0.017864 71 71
麻布 2.000 0.035728 68 67

 開成が偏差値71とすれば、理論値では筑駒が75、麻布が68となります。四谷大塚模試の受験者数を男子で10000人とすれば、筑駒の出現率では60人ぐらいしか対象がいないので、追跡調査も含めて有効なサンプルが少なくなり、偏差値の精度が上がりません。一方、麻布は理論値よりも1低い値です。

開成、日能研*4偏差値71

 開成、麻布、筑駒の偏差値が見事に四谷大塚と同じです。分析結果は四谷大塚と同じ内容になります。

開成、首都圏模試*5偏差値78

出現比 偏差値 出現率 理論値 実際値
筑駒 0.333 0.000852 81.4 78
開成 1.000 78 0.002555 78 78
麻布 2.000 0.005110 75.7 74

 開成が偏差値78とすれば、理論値では、筑駒が81、麻布が76となります。10000人規模の模試で偏差値78は上位25位以内ですから、首都圏模試の難易度では、おそらく満点に近い得点を取っています。追跡調査で有効なサンプルが集まるとは思えません。したがって、開成と筑駒の実際値は同じです。麻布は理論値よりも2程度低くなります。

はてなブログ記事のURL書式を4月1日から変更

※この記事の作成日は3月31日です。

 ブログのトップページが引っ越すわけでないし、従来の URL が変わるわけでないし、直接、記事のURLを入力してこのブログを訪れる人はいないので、読者には全く影響はありませんが、このブログもそこそこアクセス数があるので、はてなブログの使い方として紹介します。
 3月までは、はてなダイアリからの継続性を重視して、「yyyymmdd/p1」という形式にしていたのですが、これは予約投稿をするときに事前に設定しておく必要があります。はてなダイアリ形式をデフォルトにして URL 指定をブランクにすると、「yyyymmdd」までは意図通りですが、その後に「yyyymmdd/uuuuuuuuuu」のように「uuuuuuuuuu」という数値がつきます。おそらく、これは、UTC*1 の値だと思うのですが、人間から見ると無意味な数字の羅列が並ぶ URL になり、使い勝手が良くありません。従って、毎回 URL を明示的に入力しておく必要があります。
 予約投稿の公開日時を変更したときに、いちいち手入力でその日時にあわせて URL も変更するのですが、当然、変更ミスが発生したり、URL の衝突が発生します。これでは、記事の差し替えや公開順序の変更のたびに余計なストレスがたまり、作業に集中できません。そこで、4月から、はてなダイアリ形式の継続はやめ、はてなブログ形式の URL 書式で公開します。これは予約投稿の日時のままに「yyyy/mm/dd/hhmmss」で表示する形式です。

平成時代の東大合格者数累計 - 東大最多合格数

※この記事の作成日は3月17日です。

 今回は、平成時代で各校の最多合格数の順位を紹介します。平成31年の速報値も含んだ一覧を紹介します。

校名 最高 人数
1 私・開成 1998年 205人
2 私・麻布 1992年 126人
3 私・灘 1990年 123人
4 私・桐蔭学園 1992年 114人
5 国・東京学芸大附 1989年 113人
6 国・筑波大附駒場 2019年 113人
7 鹿 私・ラ・サール 1993年 107人
8 私・桜蔭 1996年 93人
9 私・聖光学院 2019年 93人
10 私・武蔵 1992年 85人

 平成時代に三桁合格を達成したのは、開成、麻布、灘、桐蔭学園学芸大附属、筑波駒場ラ・サールの7校です。

校名 最高 人数
11 私・駒場東邦 2015年 82人
12 私・巣鴨 1992年 78人
13 私・渋谷教育学園幕張 2017年 78人
14 私・栄光学園 2003年 77人
15 私・海城 1995年 68人
16 私・洛南 1997年 68人
17 国・筑波大附 1989年 66人
18 公・千葉 1990年 62人
19 公・浦和 1990年 60人
19 私・桐朋 1990年 60人

 桜蔭、聖光、武蔵、駒場東邦は80人以上の合格を記録しています。

校名 最高 人数
21 私・東大寺学園 1991年 55人
22 私・愛光 1994年 54人
23 公・日比谷 2016年 53人
24 私・久留米大付設 1990年 51人
25 私・青雲 2001年 44人
26 公・土浦第一 1997年 43人
27 私・浅野 2007年 42人
28 公・岡崎 2009年 42人
29 私・西大和学園 2019年 42人
30 公・湘南 1990年 41人

 公立高校では、千葉、浦和、日比谷、土浦第一、岡崎、湘南が40人以上の合格を記録しています。

校名 最高 人数
31 私・豊島岡女子学園 2016年 41人
32 私・広島学院 1990年 39人
32 私・洛星 1990年 39人
34 私・東海 1998年 39人
35 私・甲陽学院 2017年 39人
36 私・早稲田 2016年 38人
37 私・白陵 1995年 37人
38 私・女子学院 2005年 37人
39 公・旭丘 2017年 37人
40 公・戸山 1990年 35人

 女子校で30人以上の合格を記録したのは、桜蔭、豊島岡、女子学院の3校です。

校名 最高 人数
41 公・高岡 1989年 34人
42 公・西 2013年 34人
43 公・横浜翠嵐 2017年 34人
44 私・大阪星光学院 1994年 33人
45 私・弘学館 1999年 33人
46 私・渋谷教育学園渋谷 2015年 33人
47 国・金沢大付 1989年 31人
48 公・岐阜 1994年 30人

平成時代の東大合格者数累計 - 平成21年~30年のベスト30

※この記事の作成日は2月25日です。

 平成21年から30年までの東大合格者数累計ベスト30を紹介します。まず主な出来事を列挙します。

 平成後期の10年は、非自民党政権にはじまり、東日本大震災を経て、自民党政権に戻り、TPPで終わる時代です。あと2ヶ月ありますが、平穏に過ぎることを祈りましょう。進学校史では、白鴎高校による都立一貫校の衝撃のデビューから日比谷高校が東大合格者数ベスト10入りをした時代です。もしかしたら、記事執筆以後の平成31年にはもっと衝撃の結果が出るかもしれません。

地区 校名 累計 元-10 11-20 21-30 31年 漏れ
1 東京 ○開成 5218 1803 1716 1699
2 東京 筑波大附属駒場 2776 833 919 1024
3 兵庫 ○灘 2980 1022 973 985
4 東京 ○麻布 2773 1009 905 859
5 東京 桜蔭 2007 645 683 679
6 神奈 聖光学院 1423 349 416 658
7 神奈 栄光学園 1763 628 526 609
8 東京 駒場東邦 1649 525 519 605
9 東京 東京学芸大附属 2374 983 820 571
10 千葉 渋谷教育学園幕張 792 39 228 525

 上位10校は、開成、筑駒、灘、麻布、桜蔭、聖光、栄光、駒場東邦学芸大附属、渋谷幕張の順です。首都圏外の高校が灘だけになり、筑駒、桜蔭が順位を上げました。聖光と渋谷幕張が新規に上位10校入りしました。

地区 校名 累計 元-10 11-20 21-30 31年 漏れ
11 東京 ○海城 1393 441 525 427
12 鹿児 ラ・サール 1800 830 590 380
13 東京 日比谷 509 57 91 361
14 東京 △筑波大附属 1172 454 376 342
15 奈良 東大寺学園 1023 395 294 334
16 神奈 ○浅野 781 199 255 327
17 福岡 ◎久留米大付設 1047 388 340 319
18 埼玉 浦和 1028 446 265 317
19 愛知 岡崎 922 291 331 300
20 東京 ●女子学院 763 216 248 299

 公立高校では、日比谷、浦和、岡崎、旭丘、西、千葉の順です。

地区 校名 累計 元-10 11-20 21-30 31年 漏れ
21 愛知 ○東海 842 274 288 280
22 愛知 旭丘 756 257 234 265
23 奈良 西大和学園 514 54 201 259
24 東京 ○武蔵 1241 613 373 255
25 東京 西 613 190 170 253
26 東京 豊島岡女子学園 365 18 95 252
27 兵庫 甲陽学院 685 237 196 252
28 千葉 千葉 977 510 227 240
29 東京 ○早稲田 426 87 99 240
30 東京 巣鴨 1171 537 417 217