閉鎖通学圏分析2013 - 導入

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※この記事は4月9日発売のサンデー毎日の情報に基づいて書いています。

 閉鎖通学圏分析とは、閉じられた通学圏のなかで、どのような地域や種別(公立、私立等)が伸びているかを分析するものです。地域や種別間の増減を相殺することで、優秀層がどのように移動したかを推測するものです。まず、このマクロの分析を行っておかないと、ミクロで、特定の学校に対してコメントすることができないからです。単純に地域種別の伸張なのか、学校独自の努力なのか見極められないからです。

 まず、最初に東大における首都圏の占有率を見てます。東大の合格数は高校別判明数なので、大学発表の公開数よりも少なくなっています。
 首都圏とは東京、茨城、埼玉、千葉、神奈川の1都4県です。

全国 首都圏 占有率 リーマンショック 東日本大震災
2008年 3035名 1381名 45.5% - -
2009年 3059名 1367名 44.7% 高校3年 -
2010年 3054名 1510名 49.4% 高校2年 -
2011年 3084名 1570名 50.9% 高校1年 高校3年
2012年 3070名 1649名 53.7% 中学3年 高校2年
2013年 3062名 1661名 54.4% 中学2年 高校1年

 過去において、前年より占有率が4%近くあがった年が2度あります。それは、2010年と2012年です。2010年の受験生は、リーマンショック時に高校2年生、2012年の受験生は、東日本大震災時に高校2年生です。
 両事件とも志望大学に大きな影響を及ぼしたと思われます。地方の受験生にとって、家計上、防災上、遠方の東京で下宿することがリスクの高いことにになりました。(実際、阪神淡路大震災のときに、多くの大学生が犠牲になりました。彼らの多くが家計の都合で築30年以上の木造下宿に住んでおり、建物の下敷きになりました。だからといって耐震用のワンルーム・マンションに住むべきだったというのは、教育費をめぐる苦しい実情を知らない第三者の後知恵です。)
 その結果、地方からの東大忌避の傾向が続いています。したがって、首都圏の高校の東大合格者数が伸びているのはある意味、当然のことで、それを踏まえて分析をすべきです。