1993年(ポスト団塊ジュニア、ポストバブル期)以後の東大合格者占有率の変遷を紹介します。1993年という年度に深い意味はありません。たまたま、手元の資料で首都圏の1名合格校まで正確に把握できるのが1993年までだからです。ただ、この時期はバブル崩壊、55年体制崩壊と高度成長期までの常識が通用しなくなった時期です。少子化が潜在的に進行しはじめた時期でもあります。
さて、占有率の紹介ですが、単純にパーセンテージだと具体的イメージが湧きません。現在の東大の募集人員に近く、また、団塊ジュニア世代用に募集人員を増やした時期を除けば、多くの時期で採用されていた3000人という数字を分母に採用します。3000人当たりの東大合格者数です。これにより東大の募集人員に影響されず、長期的な傾向をつかむことが可能になります。
年度 | 3000人比 | 1000 ⇔ 1500 |
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1993 | 1392 | ########### |
1994 | 1407 | ############ |
1995 | 1416 | ############ |
1996 | 1308 | ######### |
1997 | 1392 | ########### |
1998 | 1304 | ######### |
1999 | 1340 | ########## |
2000 | 1282 | ######## |
2001 | 1340 | ########## |
2002 | 1316 | ######### |
2003 | 1394 | ########### |
2004 | 1247 | ####### |
2005 | 1352 | ########## |
2006 | 1265 | ####### |
2007 | 1333 | ######### |
2008 | 1276 | ######## |
2009 | 1271 | ######## |
2010 | 1405 | ############ |
2011 | 1420 | ############ |
この期間の最高値は、2011年の1420人、最低値は2004年の1247人です。当初は1993年に1400人程度だったのが、長期的に占有率を減らして、2009年に1250人程度まで落ち込んでいたのが、ここ2年で反転しています。反転の原因は、リーマンショックによる不況で、経済的な負担のかかる下宿生活を避けて、地方の優秀な生徒が地元の大学を目指すようになったからでしょう。首都圏の受験生は相対的にライバルが減り東大に合格しやすくなったという見方ができます。
問題は、なぜ2009年まで長期的に占有率を下げてきたかです。地方では少子高齢化により人口が減っていく一方、首都圏は人口増加が続いています。普通に考えると、占有率は上がっていくはずです。個人的にはリトルリーグ症候群*1を疑っています。中学受験に参入した層は辛うじて学力レベルを維持しているものの、中学受験から排除された層に無力感が蔓延して、潜在能力のある生徒を発掘する仕組みが機能していません。高校受験まで皆エリートコースに乗せる地方からみると、首都圏は才能の取りこぼしが多くなっています。