今回から、トップ10の紹介をします。10位は鹿児島県です。
2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 在籍者 | |
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順位 | 11位 | 10位 | 11位 | 12位 | 10位 |
人数 | 68名 | 72名 | 54名 | 58名 | 253名 |
鹿児島県の2010年国勢調査人口は1,706,428人で全国24位です。それにもかかわらず、在籍者数は全国10位の大健闘です。これは、鹿児島県にラ・サール高校があるからです。実は、ラ・サール高校が東大三桁合格をしていたときは、当然県内の合格者数は100人を超えていて、全国でも常に5本の指に入る東大合格者輩出県でした。それから比較すると、単純に大健闘とも言えません。時代を感じてしまいます。
次に、ここ4年間の二桁合格校の紹介です。
2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | |
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◎ラ・サール | 39名 | 53名 | 36名 | 29名 |
鶴丸 | 22名 | 14名 | 15名 | 25名 |
私立のラ・サールと公立名門校の鶴丸の一騎打ちです。鶴丸はラ・サールという目標が身近にあるのか、他の県庁所在地にある公立名門校と比べて依然好調な実績を続けています。
さて、ラ・サールについてコメントします。ブログ主から見てもラ・サールは中学生の頃から馴染みのある学校でした。
まず、ラ・サールの東大合格者数の秘密ですが、鹿児島市の人口だけでは東大三桁合格校を出すのは不可能です。ラ・サールは九州や中国地方から多くの優秀な生徒を集めて初めて三桁合格が可能です。遠方から入学なので入寮が必要になります。知り合いにもラ・サールに合格して入寮した人がいます。ラ・サールは今でも多くの医学部合格者を出しますが、それは当時も同じです。親に甘えたい盛りの開業医の子弟が多く入寮していました。
当時は今よりもはるかに医者の社会的ステータスが高く、医者の権威が医者=高収入という印象が、高いからこそ、開業医は、子供が集団のなかで孤立したり天狗にならないように教育に苦心していたものでした。そこで、親元から離れて寄宿舎で集団生活を送るラ・サールの教育理念は評価されていました。そして、医学部志望以外の優秀な生徒も多く集まってきました。もちろん、今でもその教育理念は不変です。ただ、今のラ・サールの状況を見ると親の意識が変わってきたと感じます。
医者というのは、年収よりも職業倫理が尊重される時代でした(職業倫理が高いのだから年収を考慮するのは野暮という時代です)。職業倫理を身に着けるために、若い頃は孤島でも戦場でもいって修行をしてこいという風潮がまだ残っていました。だからこそ、開業医は、中学生の子供を入寮させることに抵抗がなかったのでしょう。ところが、最近は、特にサラリーマン家庭の場合、終身雇用の崩壊により、その反動で、医者を「食いっぱぐれのない高給取り」という見方で捉えてしまいます。中学受験で少し偏差値が高いと、医者を志望させますが、サラリーマン意識の延長で医者を勤めてもらっても困ります。一部、中学生から医師国家試験まですっと手元において、老後は面倒を見てもらいたいという親のエゴを語る人もいますが、それで本当に自立した医者になれるのか疑問です。