東大合格発表2016 - 郊外型共学校と都内拠点校

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※この記事の投稿日は3月20日です。

 昨年、私が七年周期説で注目した進学校が今年も躍進しているようです。


 このうち、渋幕、栄東、開智、日比谷、西は、郊外型共学校と都立に該当し、この種の進学校は、受験生側からニーズが多く、時流に乗っているので、伸びて当然というものです。それ以外の、渋渋、豊島岡、早稲田は独自性を生かして都内私立として伸びています。
 まず、渋谷教育学園渋谷(渋渋)について言及します。渋渋は都内で空白種別であった共学進学校をいち早く目指したところが躍進の理由ですが、それを後押ししたのが渋谷教育学園幕張(渋幕)であるのは間違いありません。渋幕の存在がなければ、渋渋がこれほど独占的地位で急成長はできなかったでしょう。

初二桁 場所 郊外型共学校 都内拠点校 旧校名 学園
1996年 茨城 江戸川学園取手 江戸川女子 江戸川学園
1998年 千葉 渋谷教育学園幕張 渋谷教育学園渋谷 渋谷女子 渋谷教育学園
2011年 埼玉 開智 開智日本橋 日本橋女学館 開智日本橋学園

 実は、都内の女子校理事長が、郊外で成功したのは、渋幕が最初ではありません。一番最初の成功例は江戸川学園取手です。利根川沿いに敷地を確保し、高校野球での知名度をばねに、私立進学校空白地域で、東大二桁合格校にまで成長させました。ただ、江戸川学園の場合、成功モデルがここで止まってしまい、郊外型共学校でつちかった教育手法を、都内拠点校の江戸川女子に反映させるという発想がありませんでした。いや、通常はそういう発想は思いつかないものです。
 ところが、渋谷教育学園の理事長は違いました。千葉市幕張新都心に用地を確保し、渋幕での成功をもとに、渋谷女子を共学化し、渋谷教育学園渋谷として発足し、渋幕での教育手法を反映させて、都内に共学進学校を出現させました。

  • (1) 競合が多い場所(都内)で新しい教育手法を確立する→成果がすぐに出ない
  • (2) 競合が少ない場所(郊外)で新しい教育手法を確立する→成果がすぐに出る
  • (3) 郊外で成果の出た教育手法を都内に移す→安心感がある

 多くの学校が(1)の発想で改革を行っています。郊外に新学校を設立するなんでオーナー理事長ぐらいしかできませんから、通常、(1)で勝負するしかありません。しかし競合が多いため、なかなか成果が出てきません。江戸川学園の理事長は(2)を行いました。そして、渋谷教育学園の理事長が(2)と(3)を行うという離れ業をやってのけました。最近は(2)で成功した開智学園の理事長が(3)の発想で都心拠点校を設立しました。

 郊外から見ると、都内に拠点校があるということで、中央の教育ニーズから逸脱しないという安心感があります。一方、都内からみると、郊外で新しい教育手法の成否が確認できるので、安心感があります。これが相乗効果というものでしょう。