※この記事は6月28日に書いています。
この連載は、以前から質問に受けていた「なぜ、旧帝大と早慶しか評価対象にしないのですか」という疑問点に対して、自分自身の考えを整理するために始めました。当初、「首都圏の進学校を評価するなら、まず早慶の合格数でしょう。地方なら旧帝大の合格数でしょう。」という前提から大枠を決めました。対象大学の選定は、大学の難易度よりも、地方の上位層の目標となり、地方の地域住民にとって、印象の強い大学が指標にふさわしいのかなと思います。
ふと思うと、質問者と私との間で、評価重点対象が異なるのかなと感じました。東大相当率は、あくまでも評価対象を広げることが主目的で、最上位校を厳密に評価することは副目的であるのに対して、何人かの質問者は、最上位校を厳密に評価するのが主目的なので、一橋大や東工大、国医を無視できないのかもしれません。これらは、ボトムアップとトップダウンのアプローチの違いのような気がします。
このブログでは、まず、ボトムアップの手法で、現実的な努力の範囲内で合格を目指せる「早大、慶大、北大、東北大、名大、阪大、九大」の合格数を指標にすることで、初めて全国の500校を評価対象に拡大することができます。500校ですから、百万人あたり4校です。別の表現では、人口100万人の県なら4校が評価対象になります。
ところが、これだけですと、「東大、京大」合格を主目標として目指す一部の最難関校では評価精度が落ちます。といっても、早慶の最多合格校は、やはり開成であり、東大の最多合格校と同一です。それぞれの旧帝大に最多合格校も各地方でも上位にくる高校です。本当に東大京大の指標が必要になってくるのは、対象500校のうち、上位50校程度になるでしょう。
- 各大学の合格者数上位3校(早慶附属校は除く)
大学 | 1位 | 数 | 2位 | 数 | 3位 | 数 |
---|---|---|---|---|---|---|
早大 | 開成 | 240 | 湘南 | 195 | 西 | 192 |
慶大 | 開成 | 196 | 浅野 | 176 | 渋幕 | 155 |
北大 | 札幌北 | 131 | 札幌南 | 116 | 札幌東 | 102 |
東北 | 仙台二 | 106 | 仙台一 | 90 | 盛岡一 | 47 |
名大 | 岡崎 | 90 | 一宮 | 82 | 刈谷 | 72 |
阪大 | 茨木 | 66 | 奈良 | 56 | 天王寺 | 53 |
九大 | 福岡 | 110 | 修猷館 | 109 | 筑紫丘 | 83 |
(東大) | 開成 | 185 | 筑駒 | 112 | 灘 | 94 |
(京大) | 西大和 | 81 | 東大寺 | 70 | 甲陽 | 67 |
上位50校にとって、一橋大、東工大、非旧帝医でさえ主目標として合格を目指す大学とは言えません。上位校にとって、「東大、京大、旧帝医」こそ本当の評価指標になります。もちろん、一橋大、東工大、非旧帝医、もしくはそれと同等の偏差値の大学を加えることは、特定のレンジの高校の評価精度を高めるとは思いますが、広範囲に影響を及ぼすほどボリュームのある指標ではありません。上位に来る進学校は旧帝大のみの指標でもやはり上位に来るものです。