※この記事は4月11日に書いています。5月9日に更新しました。
ところが旧帝大調整率には少し問題点があります。
大学 | 東大 | 京大 | 阪大 | 名大 | 東北 | 九大 | 北大 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
偏差値 | 69.3 | 67.5 | 64.2 | 62.0 | 61.3 | 61.0 | 58.8 |
分布率 | 2.68% | 4.01% | 7.78% | 11.5% | 12.9% | 13.6% | 19.8% |
卒数300 | 8名 | 12名 | 23名 | 35名 | 39名 | 41名 | 59名 |
東大比 | 1.00 | 1.49 | 2.90 | 4.29 | 4.82 | 5.06 | 7.37 |
偏差値から成績上位者の分布率を正規分布で概算すると、北大は大学受験者の上位19.8%にいれば合格可能です。北海道地方→北大、東北地方→東北大、中部地方→名大、近畿地方→阪大、中国四国地方→阪大・九大、九州地方→九大と考えると、この中で一番難易度の高い阪大に合格するには、上位7.78%に入っておく必要があります。卒業生数が300の学校だと合格数23名になります。
ところが、関東地方→東大の場合、合格者が一桁の8名になってしまいます。これは平均値であり、実際は優秀な生徒が集中し、東大に数十名合格する難関校と、上位数名が東大に届くかどうかの中堅校に分かれます。上位数名程度だけが対象の指標では年度によるばらつきが大きく、旧帝大調整率だけでは関東地方にある高校の総合力を見ることができません。関東地方だけでは何らかの調整指標が必要です。それが早慶調整率です。
大学 | 合格数 | 東大比 | 近似値 |
---|---|---|---|
東大 | 3108 | 1.00 | 1.00 |
早大 | 17370 | 5.59 | 6.00 |
慶大 | 8558 | 2.75 | 3.00 |
旧帝大調整率と同様に合格数を基準にします。旧帝大調整率の重み付けと異なるのは、全ての大学が併願可能なので、偏差値による順位付けは必要ありません。早慶とも東大を受験するような最上位層が併願するので、累積合格数の計算も必要ありません。東大比の近似値を加重係数に使って合算した指標を、このブログの看板指標である東大早慶合格率と呼びます。
ところが、この指標は東大早慶この3大学をすべて合格した受験生は重複評価されてしまいます。重複合格不可能な旧帝大と基準を合わせるには、この指標の平均を取り(3で割り)、東大率(=東大÷卒数)との差分を取る必要があります。
実は、早慶調整率というのはマイナス値になることは珍しくありません。例えば、筑波大附属駒場高校ぐらいになると、東大確実圏の受験生も多数おり、現役のときは東大専願で、早慶の併願受験をしない生徒もいます。一般的に、東大率の高い高校は、東大合格数の6倍や3倍も早慶を受験したりしませんので、早慶調整率は計算上はマイナスになります。生徒の平均レベルが高く、東大合格数に比べて早慶の合格数が相対的に少ない学校に対して、東大実合格率よりも東大相当率のほうが小さくなるのは本末転倒なので、マイナス値は採用せず、ゼロにします。
この早慶調整率は関東地方だけでなく、全国の高校が計算対象です。どの地方の高校であっても、東大の合格数がゼロで、早慶の合格数が若干名いれば、確実に早慶調整率のボーナスポイントが加算されます。決して、関東地方の高校だけを優遇する調整値ではありません。
参考
- 東大相当率=東大率+旧帝大調整率+早慶調整率+医学科調整率
- 東大相当率の読み方 - 東大相当率