早慶の加重値と七帝大相当率 - 実例として神戸高校と横浜翠嵐高校との比較

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※この記事は9月17日に書いています。

 8月の終わりから鬱飲屋さん*1という方から熱心にコメントをいただいていまして、今まで気付かなかった観点から斬新な質問もいただいています。七帝大相当率とは何を意味しているのだろうと改めて表でまとめてみます。
 まず七帝大率とは、旧帝大を定員3000名の総合大学とみなして、その累積定員数から各旧帝大合格者に東大相当の学生がどの程度いるのかを測る指標です。

大学 定員 累積 説明
東大 3000 3000 全員東大合格相当
京大 3000 6000 2名に1名が東大合格相当
阪大 3000 9000 3名に1名が東大合格相当
名大 3000 12000 4名に1名が東大合格相当
東北 3000 15000 5名に1名が東大合格相当
九大 3000 18000 6名に1名が東大合格相当
北大 3000 21000 7名に1名が東大合格相当

 次に東大早慶合格率とは、東大早慶を全て併願したとみなして、その総合格数から、どれだけ東大相当の学生がいるのかを計る指標です。

大学 総合格数 説明
東大 3000 全員東大合格相当
早大 18000 6名に1名が東大合格相当
慶大 9000 3名に1名が東大合格相当

 国立大のように原則単願になる大学と私立大のように併願できる大学では計算式が異なります。ここからは、実例を示したほうが分かりやすいでしょう。日本の二大港町にある公立高校、神戸高校と横浜翠嵐高校とを比較します。

卒数 東大 早大 慶大 京大 阪大 名大 東北 九大 北大
神戸 321 5 18 6 22 46 7 3
横浜翠嵐 275 22 154 72 5 3 5 5 1 9

 まず東大早慶合格率から東大合格相当の生徒を割り出します。東大早慶は併願するという仮定からそれぞれの東大相当合格数を合計して平均値(3で割ること)を出します。

神戸 横浜翠嵐
東大 5 ÷ 1 = 5 22 ÷ 1 = 22
早大 18 ÷ 6 = 3 154 ÷ 6 = 25.7
慶大 6 ÷ 3 = 2 72 ÷ 3 = 24
合計 5 + 3 + 2 = 10 22 + 25.7 + 24 = 71.7
平均 10 ÷ 3 = 3.3 71.7 ÷ 3 = 23.9
東相 max(5, 3.3) = 5 max(22, 23.9) = 23.9

 神戸高校の平均値は3.3名です。これは実際に神戸高校から東大に合格した5名より少なくなります。神戸高校から早慶に合格した延べ24名の生徒で、東大相当の実力を持ちながら東大に不合格だった生徒は0名、すなわち存在しないという意味です。(誤解のないように、これはあくまでも仮想モデルです。現実はどこの学校にも一点差で合格を逃した生徒がいるのは承知しています。)したがって東大相当合格数は実際の5名です。一方、横浜翠嵐高校は、23.9名で、これは実際の東大合格数22名を上回ります。横浜翠嵐高校から早慶に合格した延べ226名の生徒のうち、東大相当の実力を持ちながら、不幸にも東大に不合格だった生徒が23.9名−22名=1.9名いることになります。
 今度はこの東大相当合格数から七帝大相当率を算出します。

神戸 横浜翠嵐
東相 5 ÷ 1 = 5 23.9 ÷ 1 = 23.9
京大 22 ÷ 2 = 11 5 ÷ 2 = 2.5
阪大 46 ÷ 3 = 15.3 3 ÷ 3 = 1
名大 0 ÷ 4 = 0 5 ÷ 4 = 1.3
東北 0 ÷ 5 = 0 5 ÷ 5 = 1
九大 7 ÷ 6 = 1.2 1 ÷ 6 = 0.2
北大 3 ÷ 7 = 0.3 9 ÷ 7 = 1.2
合計 5+11+15.3+0+0+1.2+0.3= 32.9 23.9+1.5+1+1.3+1+0.2+1.2= 31.1
卒数 321 275
32.9 ÷ 321 = 0.1026 = 10.26% 31.1 ÷ 275 = 0.1131 = 11.31%

 神戸高校には東大相当の生徒が32.9名、横浜翠嵐高校には31.1名存在して、それぞれを卒業生数で割ると七帝大相当率は10.26%と11.31%とになります。二大港町の公立高校は、方や京大阪大指向、方や東大早慶指向ですが、両校とも似たような実力になります。