閉鎖通学圏分析2014 - 南北に分裂する首都圏

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 最後は、都内私立・国立です。閉鎖通学圏分析を始めてから、この地区は一貫してシェアを落とし続けています。

都県・区分 2013 割合 2014 割合 増減
東京・私立 970 57.74% 994 56.62% ▼1.12%

 確か、閉鎖通学圏分析をしたのは、2010年*1 のものからです。当時は、首都圏内で60%を超えていたのですが、今では、56%まで低下しています。今年は、調整局面にある首都圏北部から優秀層を集めていましたが、それ以上に神奈川県へ優秀層の猛烈な引き潮が始まっています。

区分 増減 茨公 茨私 千公 千私 埼公 埼私 東公 東私 神公 神私
東私 ▼1.12 0.23 0.45 0.47 0.17 0.10 -2.54

 東京都私立に何が起きているのでしょうか。私がこのブログをはじめて3年経ちました。当初、私は最低限の教育インフラとして埼玉県にそれ相応の私立一貫校が成長するという予測をしていました。今では東大二桁合格校が複数存在して、今後も波はあっても成長していくでしょう。誰だって通勤ラッシュはいやです。いくら東京都の私立にブランドがあっても、子供は郊外の伸び伸びした環境で学ぶのが理想です。
 千葉県では一足早く学住近接型の私立一貫校が成長しています。そうなると若干ですが都内の東大合格者数も減ってきます。そしてブランド価値にも多少の毀損が生じます。
 意外なことに、そのブランドの毀損に敏感だったのは神奈川県民だったのかもしれません。神奈川県民にとって、中央線以北の私立に行くのは通学事情で苦痛です。今まではブランドがあるから仕方なく通学も考えていたのが、東大合格者数激減とともに都内北部の私立は魅力がなくなります。もしかしたら、今三つの潮流が流れ始めているのかもしれません。

  • 第一の潮流:都民の都立回帰
  • 第二の潮流:埼玉県の学住近接型私立の育成
  • 第三の潮流:神奈川県の地元ブランド私立の確立

 今までは千代田区・文京区を中心とした強烈な中央志向から、東京都南部では多摩川周辺を核とした私立通学圏、東京都北部では荒川周辺を核とした私立通学圏が緩やかに生じてきます。