東大前期日程合格発表動向2014 - 都立新宿山吹高校から東大2名

スマホで表を見る場合、画面を横向きにし、必要ならPCビューにしてください。

[新宿山吹高校]
 もう既に東大後期日程試験の発表も終わり、週刊誌等ではそれらの情報が出始めています。東大前期日程合格発表動向2014の最後の記事として、都立新宿山吹高校を扱います。
 いつもは東大合格者数の出ない都立から東大2名合格と言っても、優秀な生徒が二人いたんだねという感想で終わると思います。これが5名とかだったら、何か学校改革があったのかと話題になります。ところが、今回の新宿山吹高校は特別です。それは通信制高校だからです。「じゃ、この学校からの東大合格者は高校にも行かずに、昼間から予備校に通い詰めだったんだね。そんなことまでして東大に受かりたいのか」という心無いコメントも来るでしょう。しかし、彼ら(彼女ら)全てが好き好んでそのような学習形態を取ったわけではありません。
 実は、そのうち一人は「ヤマブキのキミ」であることが判明しています。去年は「クニタチのキミ」が話題になりました。少なくとも「クニタチのキミ」は東大合格後、クイズ選手権でテレビに出演しているので、多少、個人情報を語っても問題ないでしょう。彼女は中学受験で女子最難関の私立中に合格し、中学2年生まで在籍しています。数学で類稀なる才能を発揮していました。中学3年生で公立中に転校後、高校受験で都立重点校に合格し、その3年後、東大理3に合格しています。
 これは、バイパス中学校*1で紹介した、中学受験→私立中→公立中→高校受験→都立重点校のルートです。ただ、このルートが使えるのは中2までに公立中に転校するという決断ができた生徒のみです。通常は、私立中高一貫校から公立ルートに移動しようとしてもタイミング的に無理です。中3の二学期以降では内申書の面で公立高校受験は困難でしょうし、高校になってから居心地が悪くなっても、居住地が同じであるかぎり全日制の学校は受け入れてくれません。そのときに受け入れるのは定時制もくは通信制の高校になります。
 中高一貫校には常にそのリスクが付きまといます。6年間を通して同じメンバーで効率化されたカリキュラムを行うから教育成果が上がるのと同時に、6年間を通して同じメンバーであるからこそ、授業についていけない、人間関係に悩む状況になると地獄の環境に変わります。根性論で逆境に立ち向かえといっても限度があります。高校受験があれば、新しい集団で新しいスタートをきることができます。もちろん「ヤマブキのキミ」の転校理由がそうだとは言っていません。ただ、一般論としては、中高一貫校からの脱落者は常に存在します。
 中高一貫教育には光と影があります。その影をなくすことは不可能です。そうであるからこそ、今後も都立新宿山吹高校から東大合格者は出続けることになり、それを批判することは誰にもできません。