衆議院議員の学歴2013 - 結論 - 日本にはリーダシップ育成教育機関は存在しない

スマホで表を見る場合、画面を横向きにし、必要ならPCビューにしてください。

※この記事は9月8日に書いています。

 元々この連載は『エリート教育って何ぞや!』のコメント欄が動機になって始めました。研究者を育成するのであれば、東大を始めとした旧帝大、事務処理力と調整力を必要とされる高級官僚であれば東大でしょう。これは、明治時代から国策として整備した教育機関ですから、当たり前の結論です。
 ところが、政治家などのリーダーシップを発揮するエリートはどこで育成するのでしょうか。サンプルとして小選挙区選出の衆議院議員を使用したのですが、出身校に関連する明確な傾向は読み取れません。確かに、慶応義塾、筑波駒場、開成など、明らかに多数の国会議員を輩出していますが、それは、彼らがたまたま東大卒か慶大卒であっただけで、それらの高校のカリキュラムが国会議員を育成したのかは分かりません。例えば、灘、武蔵、栄光、桜蔭からは東大卒以外では代議士は存在しません。高校のカリキュラムに関連するのであれば、それらの高校からなら東大卒以外でも多数の代議士を輩出できるはずです。
 最多16名の慶応義塾高校だって、世襲議員が多数含まれており、しかも一学年が700人以上の集団から輩出される数としては、際立って多いものではありません。
 この連載はブログの本筋とは違いますし、国会議員の長期的なデータを集めるは大変です。集めたところで、結論としては、「日本にはリーダシップ育成高校は存在しない」になると思います。したがって、これ以上深入りする意義もなさそうです。
 強いて言えば、日本で育成されるリーダシップとは、高校がカリキュラムとして提供するのではなく、入った高校で生徒会などの活動を通してリーダとして振舞うことで本人が身につけるものです。子供にリーダシップを身につけさせるのであれば、無理に偏差値の高い高校にいれるのでなく、子供がリーダシップを取れるポジションにつける高校を選ぶべきです。鶏口牛後の精神です。
 いくら開成や灘を出ていようが東大卒でなければ、政治家のチャンスはほとんどありません(世襲を除く)。どの学校でも成績上位のポジションにいなければリーダシップは身につきません。逆に成績上位のポジションであれば、東大早慶卒でなくても地方の公立高校から多数の代議士が輩出されています。
 この連載は中高一貫教育や出身小学校も含めて政治家になるには何らかのルートがあるのではないかと思い、始めましたが、高校レベルで相関関係が見出せないので、中学校、小学校まで掘り下げる必要はないと感じました。相関関係があるとすれば、学校教育以前の世襲しかありません。 改めて、東京都が導入予定の小中高一貫教育校って、税金を使って何をやりたいのか全く意義が見出せません。モルモット教育をしたいのなら、首都大学東京の附属校にすべきでしょう。