堀川の奇跡 - 京都府の教育改革

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 ※この記事は8月23日に書いています。

 公立高校の教育改革とて『堀川の奇跡』を扱います。ただ残念なことに、関西圏の公立高校の指標として重要な京大合格者数の年度別推移でのデータが完全に集まらないので、データに基づく分析は、今回のシリーズでは深入しません。常々興味は持ち続けていますが、データを積極的に集める時間もありません。
 元々、地方公立高校の盛衰を分析するにはその地方の核となる旧帝大の資料が必要です。「七帝大率から見る全国名門校」のその一環です。確か首都圏以外で分析した記事として岡山県の記事*1があります。

 このときは東大合格者数の推移のデータが集まりました。それは、岡山県が総合選抜制度で、東大合格者を各校に振り分けて、ちょうど、『東大合格高校盛衰史』でも拾える数字を残していたからです。また、関西圏以外の場合、地元旧帝大が伸びると同時に上位層も厚くなり、それに比例して東大合格者数が増えます。それは、最上位層にとっては、地元旧帝大では自分の可能性を極めるには物足りないと感じるからです。
 ところが関西圏では、東大と京大は同格なので、自分の可能性を極めるために東大まで行く必要もありません。まして地元指向の強い公立高校出身者にとって、東京で一人暮らしで東大に通うより、親元から京大に通うのは非常に理にかなった選択です。だから、学校の上位層が厚くなることが、即、東大合格者増につながらないので、東大合格者数だけでは教育改革の成果が判定できません。
 前置きが長くなりましたが、まず京都府京都市の公立高校改革をまとめてみます。

 京都府は長い間、総合選抜制度を採用していました。公立高校も、普通科、商業科、工業科を設置するなど、進学校に特化しない方式でした。1996年に公立高校としはじめて全府学区の学科が嵯峨野高校に導入されました。その後、堀川高校西京高校、桃山高校が全府学区の学科を導入しています。次に、2004年に、市立西京高校と、府立洛北高校が附属中学を設立し、中高一貫校になりました。
 このように見てみると、京都府京都市は戦略的に進学校への再編を進めてきたことがわかります。私立高校が、単独か数校のグループ校だけしか持ち駒がないのと比べて、公立高校は、府内に多数の学校があるので、本気を出して再編してくると私立が太刀打ちできなくなります。

全府学区 中高一貫
府立 嵯峨野、桃山 洛北
市立 堀川、 西京 西京