閉鎖通学圏分析2013 - 首都圏南部私立

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※この記事は4月9日発売のサンデー毎日の情報に基づいて書いています。

 最後は、不振だった東京国私立と神奈川私立を分析します。

都県・区分 2012 割合 2013 割合 増減
東京・私立 960 58.64% 962 57.92% ▼0.73%
神奈川・私立 230 14.05% 210 12.64% ▼1.41%

 東京都国私立と神奈川私立は、著名な高校が多く東大合格者数も多いので、不振であることに気づきにくいものです。特に東京国私立はこの分析を始めてから毎年占有率を下げています。そして、栄光、聖光が常に上位で競い、浅野も検討している神奈川私立が今年は一番不振だった地域区分だったのも、週刊誌記事だけからは気付きにくい事実です。

区分 増減 茨公 茨私 千公 千私 埼公 埼私 東公 東私 神公 神私
東私 ▼0.73 -0.43 0.04 -2.01 1.67
神私 ▼1.41 -1.67 0.28

 地域ごとの移動は非常に複雑になっています。まず東京国私立では、都立に2ポイント奪われ、千葉私立に0.43ポイント奪われましたが、埼玉私立から0.04ポイント奪い、神奈川私立からは1.67ポイント奪い、全体として0.73ポイント減です。このように、同じ地区が1ポイントを超える数値で奪い、奪われることは珍しいことです。
 都立が好調だったのはわかります。千葉私立も渋幕の躍進や、二番手校の成長により、優秀層が県内回帰したのもわかります。埼玉私立に対しては0.04ポイント増で、これは前年と変化なしと見ていいでしょう。最も不思議なのは、東京国私立がこれだけ占有率を減らしているのに、対神奈川私立では、1.67ポイントも増えたことです。
 例年に倣って、国立と私立を合わせた数値にしていますが、実は、今年は東京国立附属が好調だった年でもあります。東京国私立は都立に奪われた優秀層を、国立附属校が神奈川県から補完していることを示しています。
 神奈川県は高校受験で核になる公立高校がなく、高校受験が活性化せず、公立中からの安価な迂回ルートも期待できないとなると、中学受験も高校受験も学芸大附属に頼るしかありません。学芸大附属生の居住地構成はわかりませんが、学芸大附属が都立との競合のなかで実績を盛り返してきたのは、神奈川県からの優秀層が増えたことを暗示しています。
 最後に神奈川県ですが、沿岸部の栄光、聖光、浅野は好調ですが、内陸部がまったく振るいません。三桁合格校が一桁にまで衰退した穴をまったく埋めることができません。神奈川県は東大合格者数でも安定して全国2位の位置にいますが、最近は低迷傾向にあります。