首都圏公立高校の東大前期合格実績2012 - 都立一貫校がもたらす連立方程式

スマホで表を見る場合、画面を横向きにし、必要ならPCビューにしてください。

※この記事は3月19日発売のサンデー毎日の情報に基づいて書いています。

 週刊誌の早売りで、東大後期合格者の数字も断片的に出てきました。浦和が1995年以来の東大40台以上を回復し、日比谷も30台の大台に届いたとの情報です。また千葉が31名と、首都圏で30名以上の合格を出す公立高校が3校以上になったのは、1997年(土浦第一43、千葉37、浦和32)以来です。後期合格の数字は週刊誌を購入後改めてまとめます。
 今回は、昨日触れた都立一貫校がもたらす連立方程式について考察してみたいと思います。都立一貫校が進学重視になることの是非や議論はありますが、進学重視の方向は今後も続くでしょう。

  • 国立附属校の位置づけ
    • 中高一貫教育を望む層では、高校全入でない国立附属校は敬遠されるでしょう。ただし、都立一貫校の学区外である周辺県の受験生は従来どおり志望します。しかし、現状の実績から更なる低迷が続けば周辺県からも敬遠されてきます。一方、中高一貫校でない長所もあり、外部受験への抵抗が少ないことから、都立重点高へのバイパス校*1として中受の偏差値は維持するかもしれません。
  • 難関都内私立一貫校
    • 基本的に影響は少ないでしょう。ただ、線引きは微妙です。現状で東大60名以上の合格を出す私立一貫校は影響が少ないでしょうが、東大40名以下は黄色信号です。東大20名以下の私立は立ち位置を再検討する必要があります。特に共学校は注意を要します。
  • 中堅都内私立一貫校
    • 独自色を模索していくことになります。スポーツ色や芸術色を取り入れ独自路線をとるか、開き直って、都立一貫校の併願校として、都立一貫校の直下のポジションを狙うかです。実際、都立一貫校と類似の適性検査入試を実施する私立校も増えました。
  • 都立重点校、都立推進校
    • 都立一貫校の影響で中所得層の中受シフトが予測されていましたが、現在の資料では中学受験人口は減っており、高校受験での優秀層は増えているのが実情です。脱ゆとり教育も始まってきたので、難関私立一貫校との差は縮まってくるでしょう。
  • 都立一般校
    • 重点校にも推進校にも指定されなかった都立高校は難関大学を目指すには不利になるでしょう。以前は、多くの都立から東大1名程度の合格者を出せていましたが、今後は、優秀層は重点校と推進校が確実に受けいれるので、難関大学合格を出すのは難しくなります。
  • 神奈川県私立一貫校
    • 都内の一貫校が都立との競合で疲弊するのに対して一番漁夫の利を得る位置にあります。今後も上位男子校の勢いは変わらないでしょう。
  • 神奈川県私立高入校
    • マンモス校が多いので、判断は難しいです。独自要因による盛衰の影響が強いかもしれません。
  • 神奈川県公立校
    • これも独自要因になります。神奈川県の有力公立校はすべて横浜中央部よりも湘南方向に位置しており、川崎方向の私立優位傾向は変わらないと思います。川崎市横浜市北部の受験生が、依然として都内南部の私立校を目指すことになります。
  • 埼玉県私立校
    • 中学受験が縮小して苦戦するのか、都内で私立と都立の競合による漁夫の利を得るのか予測は難しいところです。ただ、中受が縮小しても最上位層の中受熱は残るので、これが都内を目指すのか県内に留まるのかが鍵を握ります。逆に、同県の公立高校が磐石なため、高校受験から優秀層の取り込むのは難しくなりそうです。
  • 埼玉県公立校
    • おそらく、都立一貫による間接的な利益を享受したのはここです。都内私立一貫校が不振になると同時に高校受験で都内を目指す層が一気に減りました。しかし、公立高校がここまで盛り返すとは予想外です。
  • 千葉県私立校
    • ここも神奈川県と同じく、漁夫の利を得つつあります。トップ校は既に東大合格数10傑に食い込むまで成長しました。問題は2番手校以下が成長できるかです。
  • 千葉県公立校
    • ここも状況をうまく活用できれば、埼玉県と同じく、公立優勢に戻せるのですが、今のところは微妙です。震災の影響で教育熱を盛り立てる余裕がない地域があり、不確定要因です。
  • 茨城県
    • ここまで離れていると都立一貫校の影響は軽微でしょうが、筑波学園都市に一時期のような勢いがありません。