※この記事は3月19日発売のサンデー毎日の情報に基づいて書いています。
今回は何かと話題の都立一貫校について記事を書きます。まず、区立九段は、区民枠の制約など、広く都内から生徒を集めきれていないようで、都立一貫とは違う作用が働いています。
さて、昨年は白鴎一校で東大5名、今年は、4校で東大14名、平均3.5名です。それにしても、こんなに簡単に東大を出せるものかと驚きます。首都圏の新設一貫校で東大を一期生から3名出せる学校なんてそうそうありません。伝統のある本郷、鴎友、吉祥女子だって、あれほど頑張って、現時点でもこの水準で留まっています。それが、『都立一貫校』というブランドがあると、全ての学校が達成してしまいます。
校名 | 2011 | 2012 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
白鴎 | 5 | 3 | |||||
桜修館 | → | 4 | |||||
小石川 | → | 4 | |||||
両国 | → | 3 | |||||
(区九段) | → | ||||||
都立武蔵 | → | ||||||
立川国際 | → | ||||||
富士 | → | ||||||
大泉 | → | ||||||
南多摩 | → | ||||||
三鷹 | → | ||||||
合計 | 5 | 14 | (14) | (14) | (21) | (21) | (35) |
忘れてはならないのが、これがまだ助走段階で、2014年には6校、2016年には10校になります。今と同じ水準なら合計で35名。ところが、2011年の『白鴎ショック』で、更に優秀な生徒が集まり始めました。そして6年後の2018年に実績が出ます。今年の実績は、在校生にも向上心という影響(ドラゴン桜効果)をもたらすので、2016年には、おそらく都立一貫校全体で東大50名は超えるでしょう。これは少なからず中堅私立一貫校に影響を与える数字です。
よく、都立一貫校は、私立一貫校とは違う所得階層を中学受験に引きずり込んだだけで、都立一貫校の躍進で一番割りを食うのは日比谷などの都立重点校で、所詮、都立内のゼロサム現象に過ぎないと主張する人がいます。本当でしょうか? 都立一貫校の選抜方式が適性検査ならそれもあるでしょうが、それは有名無実化して、最近は私立一貫校と似たような学力選抜になっています。それなら、普通の私立と併願して、第一志望、第二志望の合否によっては、都立一貫校に合格すれば、こちらを選ぶでしょう。
そして、更に問題を複雑にしているのが学区の問題です。都立一貫校の学区が首都圏全体であれば、方程式は単純なのですが、周辺県の受験生は都立一貫校を志望できません。
都内私立、都内国立、都立重点校、周辺県公立、周辺県私立、中学受験、高校受験、すべてに違った要因をもたらします。例えば、都内私立をよそ目に好調な神奈川県私立、周辺県で公立トップ校の不可思議な復活、根源は都立一貫校にあります。今年は特定の私立男子校が大台に乗ったとか、復活したとかにぎやかですが、これが都内私立勢最後の輝きとなる可能性も大いにあります。