東大合格速報2012を読む - 海陽はショックか?

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※この記事は3月12日発売のサンデー毎日の情報に基づいて書いています。

サンデー毎日


 どうも今年は東大前期合格発表の曜日と週刊誌の発売日付の巡り合わせがよくなかったようで、情報の集まりが悪く、個別に学校分析も踏み込めませんし、全体像もつかみどころがない状況です。
 昨年は、『白鴎ショック』『開智ショック』など、首都圏内で大変動の予兆を早い段階でつかめたのですが、今年は小休止のようです。実際、公立校への流れ、周辺県私学への流れは大きな潮流として定着しています。今年は『渋幕トップ10入り』でしょうか?

 ところで、海陽高校が初年度でいきなり東大13名の合格者を出すなど、受験とは無縁の全国紙でも扱われています。以前、コメント欄で岡山高校が初年度東大9名合格の例を紹介してもらいました。おそらく、岡山高校がこれまでの記録保持校、そして、海陽高校がこれからの記録保持校になると思います。愛知県の人には大きな出来事ですが、果たして、首都圏の人が、全寮制の進学校に興味を持つか疑問です。

 結局、岡山高校で書いたのと同じ感想です。首都圏の進学校は、東大合格請負校です。東大合格数で評価が決まるといってもいいでしょう。その市場は既に成熟しており、新規参入で目覚しい実績を出すのはほとんど不可能です。だからこそ『白鴎ショック』だったわけです。それでも、首都圏郊外では、徐々にですが東大合格請負校として実績を伸ばしている私立校も出てきました。愛知県にはまだ東大合格請負校のフロンティアがあったということだけです。
 私は学校による「教育の成果」という評価には懐疑的です。いい学校は、企業が資金を投下して作るものではなく、地域住民の集合意思として成長してくるものだと思います。地域住民の教育熱が高まるとおのずと地元に進学校が成長してきます。それが本物の進学校です。
 九州には入寮を前提として広範囲から優秀な生徒を集める私立校があります。これらの私立校も新設時には塾と提携して優秀な生徒を呼び込みました。そして、短期間のうちに東大に大量の合格者を送り込む進学校に成長しました。ところが、長続きはしません。今では、その地方の公立トップ校と大差ない実績で、地域住民はやはり公立トップ校を進学校として支持しているのです。