仮面の公立王国 1

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 大学受験における公立王国と言えば、「(1)、難関大学への合格者数が多いこと」「(2)、公立高校の占有率が高いこと」「(3)、最上位校が公立高であること」を定義とします。
 以下の表は2011年度の公立高校を基準とした東大合格者数ランキングです。

都県 公立 総計 占有率 最上位校 (東大) (1) (2) (3)
1 愛知 113 157 72.0% 県・岡崎 (38)
2 東京 99 1040 9.5% 私・開成 (171) × ×
3 埼玉 58 104 55.8% 県・浦和 (30)
4 福岡 50 94 53.2% 私・久大附設 (36) ×
5 静岡 49 57 86.0% 県・浜松北 (11)
6 茨城 47 67 70.1% 県・土浦第一 (29)

 愛知県は問題なく公立王国です。東京都は公立占有率が低すぎます。また、福岡県は最上位校に私立が来ています。静岡県茨城県は総計が物足りないですし、更に静岡県は最上位校の合格数が物足りません。では、埼玉県ですが、公立高校からの東大合格者数が多く、公立高校の占有率が高く、そして最上位校を公立高校が取っているということで公立王国の定義に合致しています。
 ところが、閉鎖通学圏*1で首都圏一都四県の比例配分を行うと公立高校の占有率が19.9%まで低下してしまいます。中学受験で都内に多くの優秀な生徒が流出してしまいます。だから、埼玉県は『仮面の公立王国』になります。
 しかし、定義は定義です。埼玉県は、首都圏で他都県の教育改革の失敗や私立一貫校隆盛のなかで、唯一公立王国の地位を維持している特異な県でもあります。そして、この県には公立校と私立校の不思議な共存共栄状態が生まれつつあります。その秘密を追ってみたいと思います。