閉鎖通学圏は、通学圏人口を推定する場合、非常に重要です。多くの場合、県境が閉鎖通学圏の境界になり、大半の道県は県境内部にも多くの閉鎖通学圏があります。例外は、首都圏と関西圏です。この地域にある私学だけは、通学圏が県境を越えて設定できます*1。
さて、首都圏の閉鎖通学圏ですが、東京都を中心として、神奈川県、埼玉県、千葉県、そして茨城県を含みます*2。新幹線通学などの例外もありますが、基本的には一都四県で閉じています。まず、関連都県で2011年度に東大合格層がどのように移動しているか調べてみます。
都県 | 国勢人口 | 東大 | 比例配分 | 差 |
---|---|---|---|---|
茨城 | 2968865 | 67 | 120.1 | -53.1 |
埼玉 | 7194957 | 104 | 291.0 | -187.0 |
千葉 | 6217119 | 88 | 251.5 | -163.5 |
東京 | 13161751 | 1040 | 532.4 | 507.6 |
神奈川 | 9049500 | 262 | 366.0 | -104.0 |
合計 | 38592192 | 1561 | 1561.0 | 0.0 |
少し茨城県の比例配分が過大評価されている面もあります。水戸周辺は首都圏とは別個の閉鎖通学圏を形勢しており、厳密には対象から外すべきですが、市町村単位の資料は入手が面倒です。利根川沿いで行われる千葉県との流出入は首都圏進学校の動向を見る上で無視できないので、茨城県も含めることにします。公立高校の場合、学区が都県内で閉じているので、各都県の公立高校の実力は比例配分した状態で見るべきです。
比例配分前の割合です。
都県 | 国勢人口 | 東大 | 公立 | 割合 |
---|---|---|---|---|
茨城 | 2968865 | 67 | 47 | 70.1% |
埼玉 | 7194957 | 104 | 58 | 55.8% |
千葉 | 6217119 | 88 | 38 | 43.2% |
東京 | 13161751 | 1040 | 99 | 9.5% |
神奈川 | 9049500 | 262 | 37 | 14.1% |
合計 | 38592192 | 1561 | 279 | 17.9% |
比例配分後の割合です。
都県 | 国勢人口 | 比例配分 | 公立 | 割合 |
---|---|---|---|---|
茨城 | 2968865 | 120.1 | 47 | 39.1% |
埼玉 | 7194957 | 291.0 | 58 | 19.9% |
千葉 | 6217119 | 251.5 | 38 | 15.1% |
東京 | 13161751 | 532.4 | 99 | 18.6% |
神奈川 | 9049500 | 366.0 | 37 | 10.1% |
合計 | 38592192 | 1561.0 | 279 | 17.9% |
茨城県は水戸周辺の閉鎖通学圏も含んでいて、少し実態と違うような気もします。しかし、残りの一都三県は非常に興味深い結果がでます。見かけでは、埼玉県や千葉県は半数前後が公立、東京都に至っては、10分の1以下で公立崩壊地域と言われています。比例配分をすると、公立が全体的に苦戦しているのは変わりないのですが、通学圏補正を掛けると、東京都と埼玉県は20%近くで実は変わりありません。首都圏で一番公立高校が振るわないのは神奈川県です。