受験の南北問題 2 - 費用対効果

 前回の記事で、費用対効果について質問がありました。確かに何に対しての費用対効果か明確にしないと、十人十色の解釈があり、以後の記事の内容が伝わりにくいと判断しました。
 私の定義する費用対効果の「効果」は学習到達度です。そして、その学習到達度を測るもっとも信頼できる指標は大学合格実績です。難易度の高い大学に合格すればするほど学習到達度が高いと判断します。そして、費用対効果の「費用」は教育費です。味気ない回答ですが、現状で広く客観的に公平に入手できる指標はこれしかありません。
 さて、費用対効果で最大化されるのはどういう状況でしょうか?

です。通塾も浪人もしていなければ、教育費ほぼゼロで、学習到達度が最大になります。そこを出発点として考えてもらえれば、このブログで言及する費用対効果の定義が分かると思います。この例は、ドラゴン桜では「大沢君」という人物が担当しています(大沢君は理3を目指しているので、更に上を行っています)。

ドラゴン桜(14) (モーニング KC) 左側の男子が大沢賢治、都立日眉山高校3年ハンドボール部、父子家庭で家事と弟の世話をこなす。幼いころ生前の母に買ってもらったウルトラマン百科事典で己の探究心に目覚める。右側の女子は水野直美、母子家庭で母親はスナック経営、私立龍山高校3年。龍山高校は、龍花女学園高校から共学化し、龍山高校と改称、スポーツ校を目指すも頓挫し、学校は荒廃。生徒数減少により経営危機、進学校として立て直す。東大合格ハウツー本として批評されるが、都立と私立の少子化問題を先取りした設定も秀逸。

 地方公立トップ高の出身者なら分かると思いますが、学年に一人程度はこのようなタイプの生徒が実在します。常に優等生で、運動もでき、何事もそつなくこなし、塾にも行かず現役で東大に合格します。私の母校は当時東大に10名前後合格する学校で、同級生にも先輩にも該当例が1人いたので、公立高校出身者の10人に1人はそういうタイプになります。現在、公立高校からは約1000人の合格者がいますから、教育費ゼロで東大に合格する生徒が100人いることになります。東大教養課程のクラスで一人という割合ならまんざら荒唐無稽な数値ではありません。クラスに一人程度ならそういう天才は確かにいます。
 ここで、そんな突然変異の天才は指標にならないという反論があります。また、私立校にも同様の天才はいるので、彼らも公立一本で不良に潰されなければ、同様の費用対効果を実現できたかもしれません。しかし、実際は授業料で私立の環境を買っているので最大化例にはなりません。教育費ゼロの天才100人以外の圧倒的多数の東大生3000人は、学習到達度を上げるために、教育費という費用を払ってきたわけです。

  • 教育費の例、受験塾費、補習塾費、私立学費

 ただ、私立学費には、修学旅行の積立金や設備費など、直接大学受験には還元されない出費もあります。また、私立学費すべてをその学校のブランド料として見なすひとも人もいます。ここの解釈が、各個人によって違うので、教育費の議論が平行線となります。

 次のような行程表を考えると良いでしょう(●印は出費が必要、▲印は出費の可能性あり)。

コース 私立小 私立中 附属中 私立高 公立高 附属高
受験塾
私立小
補習塾
受験塾
私立中
補習塾
受験塾
私立高
補習塾
受験塾
大学

 これは標準的な例です。私立校であれば、補習塾や受験塾を全く利用せずに大学受験まで面倒を見てくれるところもあります。附属校の場合は、学校の勉強さえ習得すればいいので、補習塾や受験塾が不要になります。公立高の場合、通常、大学受験塾が必須です。費用だけを考ると、公立高が一番安いのですが、学習到達度で劣ります。となると、公立高志望者でも中学校で補習塾に通い、前倒しで学習到達度を上げておく必要があります。当然、この行程表から外れる例もあります。私立小からの中学受験、国公立一貫校、中学受験断念組み、私立中中退組、受験も様々です。
 普通の人は、この行程表を見てうんざりするでしょう。私もうんざりします。結局、どの行程を選んだら費用対効果が大きいのか分かりません。この行程表の進行を支援するのが私立進学校の一つの役割でもあります。