前回の記事で都内男子校だけに絞った詳細記事の予告をしました。意外と分析には苦労しました。正直言ってあまり歯切れは良くないです。ついでなので、過去10年間の東大二桁合格校だけでなく、最高3名以上合格した学校も加えました。と言っても、本郷と世田谷学園が加わったぐらいです。意外とトップクラスの都内男子校の数は多くありません。むしろ、このレベルになると女子校のほうが数で逆転します。男子校15に対して女子校19です。
2011年と2009年時点での過去10年間の平均伸び率と2012年度の予測合格数を紹介し、2月1日単日募集校(△印は2月3日単日)、中学募集のみ(△印は若干名の募集と高校募集は廃止したが高入生はまだいる)、中央線より南部(△印は最寄り駅が中央線)の条件にあった学校に○印を付けました。
2011伸 | 2009伸 | 2012予 | 単日 | 中募 | 南部 | 校名 |
---|---|---|---|---|---|---|
1.07 | 0.53 | 19.3 | ○ | 私・早稲田 | ||
1.00 | -0.58 | 98.6 | △ | ○ | 国・筑波大附駒場 | |
0.61 | 0.19 | 13.1 | △ | ○ | 私・攻玉社 | |
0.46 | 0.64 | 5.7 | 私・本郷 | |||
0.11 | 0.26 | 8.2 | ○ | ○ | 私・芝 | |
0.05 | -0.09 | 11.4 | △ | ○ | △ | 私・暁星 |
-0.12 | -0.41 | 3.7 | △ | ○ | 私・世田谷学園 | |
-0.31 | -1.41 | 17.6 | 私・城北 |
さて、伸び率毎年−0.5を境に二つのグループに分けて見ました。筑駒を除き、東大合格数30名が壁になっています。上位のグループはハイブリッド附属校あり、セレブ校あり、他には中堅校として伸びていると紹介されている学校です。
本郷は最近何かと大学合格実績で注文を多く受けていますが、10年単位では伸びています。一方、世田谷学園は東大に限ると一進一退という状況です。両者とも二桁合格校ではないので、東大の合格数だけでは長期的な学校の傾向は読みづらいのかもしれません。
2011伸 | 2009伸 | 2012予 | 単日 | 中募 | 南部 | 校名 |
---|---|---|---|---|---|---|
-0.51 | -1.93 | 49.6 | ○ | ○ | ○ | 私・駒場東邦 |
-0.72 | -0.98 | 164.7 | ○ | 私・開成 | ||
-1.60 | -2.07 | 38.0 | △ | 私・海城 | ||
-1.61 | -1.58 | 22.3 | ○ | △ | 私・桐朋 | |
-2.04 | -1.48 | 74.9 | ○ | ○ | ○ | 私・麻布 |
-2.05 | -3.08 | 17.9 | ○ | ○ | 私・武蔵 | |
-3.95 | -4.21 | 11.9 | 私・巣鴨 |
次は、過去において東大合格数30名以上を出した学校です。見事に下位グループにまとまりました。原因としては、東大の募集定員が10年前から段階的に減らされ、5%減っていることが考えられます。例えば、60名合格の場合、5%だと3名です。年間−0.3名です。各校ともそれ以上に減らしているので、募集定員減を不振の原因にすることはできません(開成だけは、補正を掛けるとプラス方向に転じます)。
当初、中学受験で併願募集や高校受験に頼っていた学校ほど、都立復権で苦境に立つと考えたのですが、これと言って決定的な要因とは言えません。伸び率上位グループを見ると併願募集は中堅私立にとっては、実績を伸ばすために依然として有効な手段と言えます。
一方、南北問題は影響がありそうです。南北とは中央線以南と以北のことです。「なぜ北部が不振か」ではなく、「なぜ北部が好調だったか」と考えると納得が行きます。中央線以南の学校は、以前から神奈川男子校御三家と競合することが多く、学校の自助努力以上に成長することはありませんでした。対照的に、中央線以北は、埼玉県や千葉県に競合がなく、学校の自助努力以上に優秀な生徒を集めすぎて実績が水ぶくれしていたとも言えます。それが、埼玉県や千葉県に二桁合格校が続々と出現したことにより、元の位置に戻る補正が掛かっている状況かもしれません。