今回は、毎年−0.5名以上0.0名未満の学校です。この位置では、10年間の傾向で微減ということですが、来年少しでも上向くと、微増に転じますので、実質上横ばいの学校です。
まず、−0.2から0.0の間を見てみます。驚くことか偶然というか、6校のうち5校が神奈川県です。偶然なのでしょうが、うがった見方をすると、激動の首都圏の中で、神奈川県だけ何も起きていないと言えます。確かに、公立も本気で改革をやるようには見えませんし、上位の私立は相変わらず好調です。首都圏男子校の不振を奇貨として、都心へ流出していた生徒を県内に引き止めているような勢いです。
伸び | 2012 | 最大 | 最小 | 東 | 神 | 他 | 校名 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
-0.01 | 6.1 | 11 | 3 | ○ | 私・サレジオ学院 | ||
-0.01 | 6.5 | 11 | 3 | ◎ | 私・公文国際学園 | ||
-0.07 | 4.2 | 11 | 2 | ● | 私・横浜雙葉 | ||
-0.12 | 55.9 | 77 | 43 | ○ | 私・栄光学園 | ||
-0.16 | 6.8 | 12 | 4 | ● | 国・お茶の水女子大付 | ||
-0.19 | 7.9 | 12 | 6 | ● | 私・フェリス女 |
神奈川県勢の中で、この位置で気になるのは、公文国際−0.01です。公文国際は、あの公文が参加した鳴り物入りの新設共学校です。一期生でいきなり東大合格者6名を出すなど、異次元の期待度と驚異的な出だしでした。ただ、入寮が半強制であり、その寮費には、かなりの出費が必要なことから、徐々に敬遠されてきた経緯があります。いずれはラ・サールのように全国から俊英を集める学校を目指したのだと思いますが、地元首都圏での評価が定まらないのに、拙速だったという印象を持ちます。教育内容そのものは注目していたので、それ以外の点で躓いているのは残念です。
上の表にはお茶の水女子大ー0.16も含まれます。何とか現状を維持していますが、都立一貫校と競合する位置にあり、特に、小石川とは、偏差値も場所も授業料も競合するという点で、予断を許さない状況です。
伸び | 2012 | 最大 | 最小 | 東 | 神 | 他 | 校名 |
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-0.23 | 10.9 | 18 | 6 | 茨◎ | 公・水戸第一 | ||
-0.31 | 17.6 | 29 | 12 | ○ | 私・城北 | ||
-0.35 | 7.5 | 16 | 7 | ◎ | 公・八王子東 | ||
-0.36 | 4.7 | 12 | 2 | 埼○ | 公・川越 | ||
-0.46 | 10.5 | 20 | 5 | 茨◎ | 私・江戸川学園取手 |
−0.2からー0.5の間には郊外にある学校が含まれます。水戸第一−0.23と江戸川取手−0.46は茨城県の学校です。水戸第一は首都圏の進学校と通学圏は重ならず、周辺にも競合する私立校がないので、純粋に内部要因だけで傾向が決まります。首都圏と茨城県北部の人口比がこの減少傾向に関係あるのでしょう。
八王子東−0.35と川越はー0.36は公立トップ校から地理的に離れた2番グループの公立校です。八王子東も川越も学区廃止の影響により、優秀層がトップ校に移動いていると考えられます。八王子東の場合、八王子東から国立(くにたち)へ、その国立(くにたち)から西・日比谷への玉突き移動が起きているのでしょう。八王子市には後背地がないので、減少状態にあります。川越市も同様に後背地がありません。
このグループで最後に紹介するのは、城北−0.31です。城北自体は減少傾向にあるのですが、他に競合する東京都北部の私立男子校が苦しい状態にあるなかで、唯一、現状を維持しています。実は、城北も2年前までは、大きな減少数を示したいたのですが、予想外に盛り返しています。偶然なのか内部的に努力しているのか分かりませんが、後者だとすると、内部努力を工夫すれば、都立復権の逆境でも、私立が自分の立ち居地を維持することができることを証明しています。