コメント欄で世界大学ランキングについて触れられていたので、調べてみました。一番、評価基準が明確で引用されているのがタイムズハイエデュケーション誌のものです。
- The Times Higher Education World University Rankings 2010-2011
- http://www.timeshighereducation.co.uk/world-university-rankings/
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- Teaching ― the learning environment (worth 30 per cent of the final ranking score)
- Research ― volume, income and reputation (worth 30 per cent)
- Citations ― research influence (worth 32.5 per cent)
- Industry income ― innovation (worth just 2.5 per cent)
- International mix ― staff and students (worth 5 per cent)
要するに『ブレンド指標』です。ブレンド指標は、スポンサーの意向を反映したものになりやすということです。
さてランキングの中身ですが、英語圏の大学なんて一々紹介するのが馬鹿らしいので省略しました。要するに英語で得するランキングということです。100大学中81大学が英語圏の大学です。もちろん、世界への情報発信力では英語の力は絶大なるものがあります。これが世界の現実なので当事者は多少は考慮しておく必要がありますが、第三者、特にマスコミが過剰に反応するものでもありません。
このランキングをみるとアメリカの投資格付け会社に似ていますよね。勝手にランキング付けをしておいて、自分たちの投資に有利な数値を付けておく、自分たちのコントロールが利かないもの(日本国債など)は過小評価する、そういう性格のものです。
順位 | 大学名 | 備考 | 順位 | 大学名 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1-14 | --- | 英語圏 | 15 | チューリッヒ工科大学 | スイス |
16-25 | --- | 英語圏 | 26 | 東京大学 | 旧帝国大学 |
27-27 | --- | 英語圏 | 28 | ソウル大学 | 旧帝国大学 |
29-36 | --- | 英語圏 | 37 | 北京大学 | 中国 |
38-38 | --- | 英語圏 | 39 | エコール・ポリテクニーク | フランス |
40-41 | --- | 英語圏 | 42 | パリ高等規範学校 | フランス |
43-43 | --- | 英語圏 | 43 | ゲッティンゲン大学 | ドイツ |
43 | カロリンスカ研究所 | スウェーデン | |||
43-47 | --- | 英語圏 | 48 | ローザンヌ工科大学 | スイス |
49 | 中国科学技術大学 | 中国 | |||
順位 | 大学名 | 備考 | 順位 | 大学名 | 備考 |
49-56 | --- | 英語圏 | 57 | 京都大学 | 旧帝国大学 |
58 | 清華大学 | 中国 | |||
59-60 | --- | 英語圏 | 61 | ミュンヘン大学 | ドイツ |
61-78 | --- | 英語圏 | 79 | 韓国科学技術大学 | 韓国 |
79-81 | --- | 英語圏 | 83 | ハイデルベルク大学 | ドイツ |
83-88 | --- | 英語圏 | 89 | ルンド大学 | スウェーデン |
90 | チューリッヒ大学 | スイス | |||
90-94 | --- | 英語圏 | 95 | バーゼル大学 | スイス |
95-99 | --- | 英語圏 | 100 | リヨン高等規範学校 | フランス |
英語の情報発信力もなく、そして、EUのように国境を越えた交流も気軽にできない状況で、日本、韓国、中国の大学は頑張っていると言えるでしょう(EU内部は法律や所得が均質なので人材交流が容易ですが、日中韓では国ごとに大きく異なるので人材の横展開が困難です)。その三カ国も経済大国ですから、特許面での優位性があり、結局、英語、国際交流、経済大国の三つの条件が全てない国からはランキング入りは不可能です。
さて、東大ですが、経済大国の点ではクリアできますが、英語力と国際交流では劣ります。したがって、入試問題も英語重視に変わっていますし、留学生の受け入れも不必要に多くなっています。また、東大教授の能力として疑問符なのに、テレビで評論家ぶっている外国人教授も受け入れねばならないなど、このランキングを意識するあまり、弊害も出てきているのが事実です。
マスコミというのは日本没落論が大好きなので、日本を過少評価できる情報には嬉々として反応しますが、第三者がこの指標を過度に意識する必要ないと思います。ただ、当事者だけは意識しておいたほうがいいです。英米人の手法は、彼らに有利なルールを作って優位に立つことです。相手のルールを理解しておいたほうがいいです。こんなルールなんて自分には意味がないと無視したとたん、言いがかりをつけてくるのが国際社会です。