生涯収入

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 生涯賃金、生涯年収とも言います。サラリーマンが一生で稼ぐ収入の総額です。この用語が受験関連の会話で使われると、間違いなく浪人の是非についての会話です。
 私大附属校と現役指向の強い私立校の関係者が、浪人率の高い私立校や公立高校を批判するときに使います。通常、前者の高校よりも後者のほうが進学実績が良いときに議論が起きます。特に、私大附属校から合格することが困難な国立大学進学者が多数いる学校が槍玉に挙げられます。
 批判内容は、大企業に入社し、出世コースに乗り、定年を迎えると、一浪した場合、一年間スタートが遅れる分、生涯年収は定年直前の年収分少なくなってしまうことを挙げています。仮にその大企業が金融系ならば、定年直前は年収1500万円ぐらい行くでしょうから、退職金や企業年金などの福利厚生を含めれば、2000万円近く差が出ます。したがって、いくら浪人して、いい大学に入って、その後、大企業に就職しても、人生の失敗となるようです。
 しかし、大企業に入社でき、出世コースに乗れ、定年までにリストラも出向も(倒産も企業買収も)されずに本社に残れる人はどのくらいいるでしょうか?年収数百万円の地方公務員なら定年まで残れるでしょうが、年収1000万円を超えるような職種は、逆に40代後半から熾烈な生き残り競争が始まるもんです。そんなに甘くないですよ(自戒も含めて)。
 とにかく、自分が死んでいる可能性が高い、我が子(主に息子)の還暦時の生涯収入を今から心配するなんて、どれだけ子離れできないんですか?
 18歳を過ぎたら、子供本人の人生です。子供が自分の将来の夢を実現するために、どうしても譲れない大学や学部があるのなら、一年間ぐらいチャンスを挙げてもいいでしょう。浪人を苦行だと勘違いしていますが、あの期間に勉強した内容は一生ものですよ。そして、一年の遅れを挽回するのも子供の自己責任です。もちろん、教育費はしっかり管理して、予備校の口車には乗せられないようにしましょう。