東大合格発表2016 - 豊島岡の併願戦略

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※この記事の投稿日は3月20日です。

 今年も好調な豊島岡について言及します。豊島岡の東大合格者数は見事に7年周期に合致していて、今年の躍進も7年前に12人から17人に躍進したときと相関があります。一方、サンデーショックの影響ですが、2004年、010年、2015年が卒業年になります。該当する年度とその前後を見る限りでは相関は見出せません。

  • 過去14年間の東大合格者数
+0 +1 +2 +3 +4 +5 +6 Sunday Shock
2003年 11 9 10 14 14 12 17 1998年
2010年 24 13 25 27 33 30 40 2004年,2009年

 豊島岡は、2月1日に受験日を設定せずに、2月2日、3日、4日という併願戦略をとっています。都内の私立中にとっては2月1日は特別な日で、この日は第一志望の生徒を選抜するという意味で重視します。ただ、私は、この意見には非常に懐疑的です。モデルを使って説明します。下記の表のように偏差値と入試日が異なる。中学が3校あります。

偏差値 校名 入試日
70 A中学 2月1日
65 B中学 2月1日、2月3日
60 C中学 2月2日、2月3日

 受験生は全員A中学が第一志望で、偏差値上位の中学に合格し、下位の中学に不合格するという番狂わせはないとします。また、合格した中学の中では、偏差値上位の中学を選ぶものとします。次の5通りの場合が考えられます。

受験生 第一志望 2/1 2/2 2/3 入学先 備考
A中学 A○ A中学 Aに入学
A中学 A× C○ B○ B中学 Aに不合格後Bに入学
A中学 A× C○ BX C中学 Aに不合格後Cに入学
A中学 B○ B中学 Aを受験せずBに入学
A中学 B× C○ B× C中学 Aを受験せずBに不合格後Cに入学

 受験生Vは、第一志望のA中学に合格し、問題ありません。受験生Wは、第一志望のA中学には不合格だったものの、C中学、B中学と合格し、偏差値上位のB中学に入学します。受験生XはA中学もB中学も不合格で、C中学に入学します。受験生Yは、合格可能性の低いA中学は受験せず、2月1日にB中学を受験し合格します。受験生Zも、同様に合格可能性の低いA中学は受験せず、2月1日にB中学受験しましたが不合格で、2月2日にC中学に合格後、2月3日にB中学に再挑戦しましたが、不合格で、結果としてC中学に入学します。
 B中学からみると、2月1日に受験した受験生Yは、おそらく第一志望で入学したので、A中学に不合格で2月3日の受験生Wよりも、入学時の成績が劣っていても愛校心が強いので、積極的に学業に取り組むと期待するはずです。
 ところが、受験生Yは、心の中ではA中学志望だったのが、周囲の説得により不本意にB中学を受けた可能性があります。受験生Yこそ心の中に「もしかしたらA中学に受かったかもしれない」というわだかまりを残したまま、スタートダッシュに失敗する可能性が高くなります。2月1日の合格者は、常に第一志望で、やる気があると考えるのは早計です。
 一方、C中学に入学する生徒は、第一志望のAに不合格だったか、第一志望のAより偏差値下位のB中学に不合格だったかで、本人も第一志望に不合格だったか、第一志望よりも難易度の引い中学校に不合格だったということで、納得済みの入学になります。
 新入生のスタートダッシュにとって、「2月1日に合格したかどうか」でなく「中学入試の結果に納得済みかどうか」のほうが大切です。豊島岡の受験日設定はすべての中学と併願できるようになっています。だからこそ、他校との併願でチャレンジした受験生は、結果に納得済みで入学後も気分の切り替えができるのかもしれません。