2014/08/27 のコメント欄への回答

スマホで表を見る場合、画面を横向きにし、必要ならPCビューにしてください。

※この記事は9月6日に書いています。

 学校評価は各自が重要と思う指標で行っていいと思うので、特に強く主張する気はないのですが、思ったところを回答します。

Q1.この意味が理解できません。東大志望の優秀層の次は、一橋か東工で、早慶ではないように思うのですが。早慶に合格しても一工に合格すればほぼ一工に進学するのではないでしょうか?

Q4.確かにそうでしょうが、一橋・東工・東京外大・お茶の水女子大などを目指す受験生も併願すると思いますが。そしてそれらの大学に合格すれば、大半は国公立大を選択するのでは?

 この疑問点に対する回答は、質問時と記事のアップ時が前後してしまいましたが、8月30日*1と8月31日*2の記事で書いています。各高校別の一工と早慶の合格数は相関係数が0.84で、これは極めて強い相関関係にあります。片方を指標に加えてしまえば、もう一方はそれで肩代わりできる程度の相関です。その場合、指標に加えるのはより要素数の多い母集団になります。そのほうが、大数の法則により、安定した分析ができるからです。一工と早慶でとちらを取るかといわれれば、合格数が圧倒的に多い早慶になります。東京外語大もお茶の水女子大も同様の扱いです。
 決して、一工外茶を軽視しているわけではありませんし、実際に早慶とダブル合格した場合は、一工外茶を選択するでしょうが、統計的には、早慶の合格数だけ分析すれば、一工外茶も指標に取り込めます。

Q2.高校の人材輩出力を測るためには、国公立大医学部医学科の実績を入れなければならないと私は思っていますが、「学力ランキングではない」と書かれてあったので考え方の違いかと納得。しかし医学部医学科に進学する生徒が沢山いることも人材輩出力になるのでは?という疑問は消えません。どうしても「学力ランキング」として見てしまいがちですから。旧帝大に進学する者の方が医学部医学科に進学する生徒より人材的に優れているのでしょうか?

Q3.旧帝大と慶大医学部で既に1000人弱の対象者がいるから、それ以外の医学部医学科は対象外となる理屈が私には分かりません。全国に50ある国公立大医学部医学科の内、東大の(理?除く)平均偏差値より高いのは11校、京大の(医医除く)平均偏差値より低いのは約14校、その他25校は京大以上東大以下であり、人数的にも4000人前後いるので対象外にするには余りにも大きいと思います。

 これは、私が下手に言い訳がましいことを書いたのもよろしくなかったと思います。私が医学部を評価指標から外している最大の理由は、データ収集が大変だからです。医学部単体の合格数は、週刊誌で断片的でしか入手できず、しかも、一人合格校までの完璧なリストは手に入りません。『高校の実力』や『私立中高受験年鑑』のような便覧的な資料でも追加検証できません。
 時系列で正確な数値が入手できない資料は評価指標としてふさわしくないからです。また、早慶の合格数で一工外茶の傾向が分かるのと同様、国立大医学部の合格数も、旧帝大の合格数で傾向が分かると判断しています。
 これに関しては多少異論があるのは知っていますが、医学部を含めた高校ランキングに興味がある人が、医学部合格数を自分で入手して集計するしかありません。個人的には、その労力を払ってランキング表を作成しても、七帝大相当率ランキングと大差ないと思っています。

Q6.こういう発想は全くなかったので感心しました。各大学のトップクラスと下位クラスでは隣接する偏差値の大学とかなりダブると思いますが、その辺は深く考えず偏差値が少しでも上なら、合格者のレベルも全て上であると「単純化」しているってことですか?

 はい、これはそのとおり単純化です。現実は、偏差値上位校の下位よりも偏差値下位校の上位が優秀なのは当たり前なのですが、読者の方も理解しているように、正規分布表の累積数と、偏差値上位校からの累積募集定員数に非常に強い相関関係があるので、単純化できるのでしょう。
 多分、東大合格圏にありながら京大を受験した受験生、京大合格圏にありながら阪大を受験した受験生、阪大合格圏にありながら名大を受験した受験生と、上位と下位の逆転現象を全ての国立大学に対して行うと偏差値順の累積募集定員に収束するのだと思います。

Q7.京大と同等の一橋・阪大以上京大以下の東工・阪大より上の東京外国語大・阪大レベルのお茶の水女子大・北大や九大レベルの筑波大・北大や九大よりやや落ちるが学部によっては同等の千葉大・横浜国立大・首都大学東京など、地方旧帝大のような位置づけの大学は一杯あると私は思いますが。

 なぜ、旧帝大に限定しているのかというと、それが明確な境界線だからです。旧帝大は日本に7校しかありませんし、これが増えることは絶対ありえません。何らかの事情で廃校になれば減るでしょうが、それもありえないでしょう。
 一方、偏差値が匹敵するという都合で、該当大学を増やしていくと、一工外茶、医歯大、神戸大、広島大、筑波大、新潟大、岡山大…と永遠に境界線が定まらないからです。個人ブログで集計可能な境界線で区切るとすれば、旧帝大となります。
 一工や神戸大など、北大より偏差値の高い大学があるのは理解できます。しかし、一工には東大、神戸大には京大・阪大とそれぞれの地区に偏差値上位校がありますので、偏差値上位校の合格数で高校の評価は可能だと判断しています。

Q8.近似加重値を厳密に計算すると、単純明快な「1.2.3.4.5.6.7」ではなく、「1、1.94、3.05、3.77、4.60、5.49、6.35」になります。誤差を計算すると、京大・阪大は0.05前後なのでいいとして、名大は0.23、東北・九大・北大は「0.40、0.51、0.65」にもなるので、七帝大相当率合計にも少なからず影響があるのでは?複雑な数字にするとややこしくなるのであれば、説明では「1.2.3.4.5.6.7」でもランキング表では「1、1.94、3.05、3.77、4.60、5.49、6.35」で計算した方が(順位は下位程僅差になるので)適切だと思いますが。

 もちろん、正規分布の累積数比が一番汎用的で、旧帝大から全国立大まで拡張できる指標だと思います。とはいえ、個人ブログが全国の高校に対して、全国立大を対象にするのは時間的に不可能です。それに、偏差値は移ろうものです。実際2014年と2015年でも主要予備校による予想偏差値に変化がありました。人間の記憶力なんてあいまいなものです。年度によって変化する少数値を覚えるよりも、「1,2,3,…、7」の単純な数値近似的に評価できるのですから、それで十分だと思っています。
 むしろ、旧帝大相対評価がそういう単純な数値で評価可能であったことに、社会統計上の美しさを感じてしまいます。

Q5.最優秀層は一般的に東大、早大、慶大の3つの大学を併願...東大だけでなく、一橋・東工・東京外国語大・お茶の水女子大も早慶を併願するのでは?早慶の歩留まり率が40%前後しかない(60%は合格しても辞退している)という点はどう考えておられるのでしょうか?「これらの大学の難易度は、総合格数の逆数に比例する」と言えるのでしょうか?慶応の募集人員が東大と同じなら、難易度も東大と同じになるってことですか?たまたま早大は東大の6倍、慶応は3倍の定員だっただけでは?慶応の定員が東大の2/3だったなら、東大より1.5倍難しくなっていたのでしょうか?

Q9.早大の募集人員が慶応の2倍あれば、近似加重値が倍になるのなら、もしも慶応の募集人員が8,737人の半分4,368人だったら、(3,109人÷4,368人≒0.712 1÷1.5≒0.667)早大の4倍になっていたということでしょうか?募集定員で早大が慶応の2倍あっても、難易度というか偏差値はどちらもそれ程変わらないのではないでしょうか?早大が6で慶応を3にする程の差はないのでは?と思います。6と5、3と4という差ならまだ分かりますが、早慶にそれ程の差があるとは思えないのです。

 確かに法学部や経済学部で比較すると両者は拮抗していますが、それぞれの偏差値最下位学部は、早大スポーツ科学部は偏差値57、慶大の看護医療学部は偏差値60です。参考までに東大の理科二類は偏差値67.5です。正規分布の累積数だと東大:早大:慶大=0.401:0.2420:0.1587となり、東大:早大:慶大=1:6.0:4.0となります。慶大に関しては、3よりも厳しい数値になります。ただ、偏差値も年度によって移ろうものなので、募集定員(私立は総合格数)の比を取るのが時系列的に安定した指標になります。
 これも正規分布の累積数と募集定員の比に偶然とは思えない一致があることから、同様に社会統計上の美しさを感じます。

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 以上、私なりの回答をしましたが、納得できない部分も多々あることは承知しています。折角なので、次回の記事で、鳥取県という人口最少の県を例にして、私が思う理想的な評価指標を紹介したいと思います。