東大初二桁合格校列伝 - 2014年 - 長崎西

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 2014年に新規に二桁合格校に加わったのは、長崎県長崎西高校です。初二桁でいきなり14名の合格者です。今話題の中高一貫校ではありません。高校募集のみの学校です。
 九大の合格者数では長崎県トップの高校なので、この躍進は不思議ではないのですが、地方にはこのようにいきなり大躍進をする公立高校があります。他には、今年の岡山朝日水戸第一、新潟も同様の事例です。地方の優秀層はまだまだ枯渇していません。
 長崎県は1950年から2003年まで総合選抜をしていました。優秀層が分断される構造です。1968年に長崎東と長崎北がそれぞれ東大二桁合格を一度だけ達成しましたが、当時の長崎市の人口規模から考えて、物足りません。その状態に業を煮やした地元財界が1975年に私立青雲高校を設立して、優秀層はそこに集中するようになりました。1980年に東大合格者数で県下1位の地位についてから、実に2013年までの33年間、青雲高校がその地位を続けていました。
 長崎県は2004年に総合選抜を廃止し、同時に長崎東高校中高一貫化しました。2007年からは総合選抜廃止効果、2010年からは中高一貫校効果が出てきます。そして、2014年に東大合格者数で県立高校が首位を奪還しました。あえて、青雲高校の東大合格者数推移は載せませんが、影響大としかいいようがありません。このように地方での公立中高一貫化は各地で進学校勢力図の大激変をもたらしています。
 県全体でみると、公立中高一貫化は地域住民の教育意識が高まり、結果的に公立中高一貫校よりも、その地区で伝統がある公立トップ校が実績を上げます。公立トップ校には一般公立中でリーダ的な活動をしていた生徒が入学しますから、公立中高一貫校に対するライバル意識もあるのでしょう。
 その影で、かつて総合選抜の公立叩きで、漁夫の利を受けていた私立が静かに姿を消していく危険性もあります。いずれにしても、子供たちがどこで学ぼうが高度な教育を受けられる間口が広がることはいいことです。淡々と推移を見守っていきたいと思います。

校名 初二桁 人数 最高 人数 最終 登場
243 公・長崎西 2014年 14名 2014年 14名 2014年 1回