某雑誌のランキング表のトンチンカンさに驚いて、やはり自前の全国高校ランキング指標を作っておくことにしました。過去の記事で断片的に各指標の説明はしていますが、ひとつの記事にまとめておいたほうがいいので、改めて定義を紹介させていただきます。
このブログの指標は、旧七帝大と早慶の九つの大学を対象にしたものです。対象外の大学に、一橋、東工大など、難易度の高い大学もありますが、それらの数値は早慶を含めることで間接的に評価可能だと思っています。次に国立大学医学部ですが、あくまでも高校の人材輩出力*1を測ることを優先してます。旧帝大と慶大医学部で既に1000人弱の対象者がいますので、それ以外の大学医学部は、難易度が高いとしても、指標の対象外とさせていただきます。
これらの9大学は、難易度も併願可否も異なりますので、単純に合格数だけを合計したのでは、学校の実力が測れません。したがって、加重値の決定が指標の重要な要素になります。
早慶の指標1(東大早慶合格率)
早慶の加重値は併願の発想で決定します。旧帝大と併願可能なこと、立地の面からは首都圏の高校の合格数が圧倒的に多いこと、地方では早慶より難易度が低い地元旧帝大への進学が圧倒的に高いのに対して、首都圏では、地方への下宿による経済的負担を避け、地元の早慶を目指すために、地方旧帝大への合格数が少なくなる傾向があります。基本的に東大を目指す受験生が併願する大学となります。
まず、首都圏限定ではこのブログの看板指標である東大早慶合格率を採用しています。最優秀層は一般的に東大、早大、慶大の3つの大学を併願することから、これらの大学の難易度は、総合格数の逆数に比例するものとして定義しています。
総合格数 | 加重値 | 近似加重値 | |
---|---|---|---|
東大 | 3109 | 3109÷3109=1.000 | 1÷1=1.000 |
早大 | 17648 | 3109÷17648=0.176 | 1÷6=0.167 |
慶大 | 8737 | 3109÷8737=0.356 | 1÷3=0.333 |
年度により総合格数は変化するので、時系列での値の一貫性を重視して、近似加重値を採用しています。
早慶の指標2(東大相当合格数)
※(2015/05/10) 東大相当合格数は旧帝大の指標も加えて拡張されました。*2
ある学校の上位60名が早大以上に合格する実力があるとします。また、東大、慶大、早大をすべて併願するとします。201X年は番狂わせもなく、東大、慶大、早大、募集人員比どおりに、それぞれ、10名、30名、60名合格しました。
201X年 | 合格数 | 東大相当合格数 | 201Y年 | 合格数 | 東大相当合格数 |
---|---|---|---|---|---|
東大 | 10 | 10 | 東大 | 4 | 4 |
慶大 | 30 | 30÷3=10 | 慶大 | 30 | 30÷3=10 |
早大 | 60 | 60÷6=10 | 早大 | 60 | 60÷6=10 |
平均 | (10+10+10)÷3=10 | 平均 | (4+10+10)÷3=8 |
ところが201Y年は、東大合格圏内でボーダー層の受験生がことごとく苦手分野にあたり、4名しか合格できませんでした。早慶の合格数は例年並みだったのですが、大不振の年として評価されてしまいます。このように、例年、東大10名前後しか合格しない学校を東大の合格数だけで評価していては、数値が極端に上下します。そのための指標が東大相当合格数です。ただ、実合格数が相当合格数よりも多いときは、当然、実合格数のほうを採用します。
東大相当合格数と東大早慶合格率とは次のような関係があります。
- 東大相当合格数=MAX(東大, 東大早慶合格率×卒数÷3)
旧帝大の指標1(七帝大率)
旧帝大の指標作りは併願ではなく専願の発想になります。敗者復活の後期日程もありますが、定員の9割以上は、前期日程で決定されます。後期日程は縮小傾向にありますので、旧帝大同士は併願不可能で、第一志望一発勝負の受験になります。したがって、旧帝大を偏差値順に並べて、累積定員数で加重値を決めることになります。
偏差値 | 定員 | 累積数 | 加重値 | 近似加重値 | |
---|---|---|---|---|---|
東大 | 69.3 | 3109 | 3109 | 3109÷3109=1.000 | 1.000=1÷1 |
京大 | 67.5 | 2928 | 6037 | 3109÷6037=0.515 | 0.500=1÷2 |
阪大 | 64.7 | 3450 | 9487 | 3109÷9487=0.328 | 0.333=1÷3 |
名大 | 62.2 | 2227 | 11714 | 3109÷11714=0.265 | 0.250=1÷4 |
東北 | 61.3 | 2599 | 14313 | 3109÷14313=0.217 | 0.200=1÷5 |
九大 | 60.7 | 2754 | 17067 | 3109÷17067=0.182 | 0.167=1÷6 |
北大 | 60.0 | 2667 | 19734 | 3109÷19734=0.158 | 0.143=1÷7 |
厳密な定義は累積数を東大の定員で割った値の逆数ですが、定員は年度により増減しますので、時系列的に一貫した値にするために、近似加重値を採用します。ちょうど偏差値順の逆数が近似加重値になります。
- 七帝大率=(東大+京大÷2+阪大÷3+名大÷4+東北大÷5+九大÷6+北大÷7)÷卒数
旧帝大の指標2(七帝大相当率)
東大合格数だけでは、東大に数名だけ合格する高校では年度によって数値が極端に上下します。それでも、地方の高校は地方旧帝大で数十名の合格数を安定して出せるので、数値が極端に振れませんが、首都圏の学校は、地方旧帝大のような位置づけの大学が存在しません。首都圏では早慶がその役割を果たします。早慶を加味した指標は東大相当合格数です。数値が極端に振れるのを避けるために、東大合格数の代わりに東大相当合格数を採用します。
- 東大相当合格数=MAX(東大, (東大+早大÷6+慶大÷3)÷3)
- 七帝大相当率=(東大相当合格数+京大÷2+阪大÷3+名大÷4+東北大÷5+九大÷6+北大÷7)÷卒数