東大前期日程合格発表動向2013 - 『学住近接』時代の到来

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※この記事は3月17日に書いています。

 今年は、昨年の東大合格者数105名の都立勢が今年は前期日程だけで130名に増やすなど、都立復活がマスコミで話題となるでしょうが、この件は既に昨年言及しています[*1][*2]ので今年の一押しは、『学住近接』時代の到来とします。
 以前、鎌倉のほうから武蔵に通っている話を聞いたことがあります。確かに武蔵はいい学校だとしても鎌倉からわざわざ通ってくるのは大変です。この話を聞いたときに「また進学塾が実績稼ぎのために無茶な進路指導をしたな」と思い浮かびました。おそらくこの生徒は2月2日は栄光を受けたはずです。2月3日もそれなりの都内校を受けたのでしょう。ただ両校ともチャレンジ気味だったので、2月1日だけは確実なところを選んだはずです。そして、塾と母親が勧めた学校こそブランド力十分、御三家の一角、武蔵だったということは容易に想像できます。その結果、この生徒は、6年間、毎朝2時間も通勤電車にもまれて通学する状況になったのです。
 首都圏には根拠のない価値観があって「おなじ実績の学校なら都心に近い学校を選んだほうがいい」というのがあります。都心に通っているとそれだけで近所に自慢できるようです。一方、郊外の学校だと何か「都落ち」の印象があって、学校名を伏せていたりします。でも普通に考えれば、同じ実績の学校であれば、家に近いほうがそれだけ通学の負担が減っていいですよね。
 今年、象徴的な数字がでてきました。栄東12名、開智11名、市川13名、東邦10名が、史上初めて4校同時に二桁合格を達成しました。これらは、埼玉県、千葉県にあり、東京都から見ると、1月のお試し校といわれている学校です。実際に進学する可能性は少ないけど、偏差値的に自分の実力を試すのにちょうどよい学校として多くの受験生を集めています。東京都から見るとお試しでも埼玉県・千葉県の地元では第一志望として選んでいる受験生も多くいます。また、都内校とタブル合格したとき、徐々にではありますが、地元校を選んだ優秀な生徒が増えてきたことを意味します。中高一貫校の実績はあくまでも6年前に入学した生徒が出すものですから、実感と実数にタイムラグがあります。既に大きな慣性の歯車は水面下で回っていたのは確かでしょう。今後はこの動き顕在化して加速していくでしょう。