才能の世襲、努力の世襲

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 上記の記事のコメント欄にもたくさんのコメントが付きました。もっと、記事の内容そのものに反論がくると思ったのですが、記事の内容には同意の上でのコメントでした。

 一件だけ、前提そのものに反論がきていますが、

>親の平均年収は、
>私立歯大>私立医大>早稲田、慶応>東大
>なのでは?

 私立医歯系が高いのは当然その授業料を払える層に限られているので事実でしょう。それ以外についての最新の資料は知りませんし、実は私自身あまり関心がないので資料を調べたりしていません。そうなのかもしれません。ただ東大生の親の年収が高かろうが、低かろうが、それは統計的な平均値であり、東大に合格するためには、親の年収に関係なく、本人の熱意がないと無理だからです。

>親から受け継いだ能力の不平等が結果に現れる。
>収入の高い家庭は能力の高い親が多く、
>能力の高い親からは能力の高い子供が生まれやすい。
>悲しい現実です。

 これに関してはどうコメントしようかと思ったのですが、アスリートの例が分かりやすいでしょう。
 優れたアスリートの子供は当然優れたアスリートの遺伝子を引き継いでいます。しかし、トップアスリートたちの顔ぶれをみると思ったほど世襲の数は多くありません。とくに、野球やサッカーのようなメジャースポーツほどそうです。
 フィギュアスケートハンマー投げモータースポーツには世襲選手がいるのは知っていますが、それらは競技人口が少なくマイナースポーツだからでしょう。競技人口が少ないと、育成ノウハウをもった指導者が少なく、また親子ともどもよほどの信念がなければ続けられません。結果的に、良き指導者に巡り合う機会が多く、親子ともども信念を持って競技に打ち込める世襲選手が有利になっている面もあります。

 ところで、大学受験ってスポーツにたとえると、マイナースポーツでしょうか?毎年50万人近くが参加するメジャースポーツです。何でもそうですが、才能は世襲できても、努力は世襲できません。大成するには本人の努力が必要ですし、日本の大学入試制度というのは、(私が教育格差云々といっていますが)、他国の教育制度や日本のほかの分野と比べても、依然として極めて公平な制度です。努力が報われる制度だと思います。
 その才能もクローン人間でない限り、複雑な組み合わせで親から引き継ぎますので、単純に自分がダメだったから子供もダメだろうと決め付けるものではありません。東大生の平均IQが120だと聞いたことがありますが、50万人のうち3000人を選別した結果がIQ120なんですから、東大生は才能よりも努力の集団だと思いますよ。(仮にIQの分布が正規分布になっていると、50万人の大学受験生のうち東大定員3000人というのは、地頭だけならIQ135ぐらいが合格ボーダーになります。ところがIQ120程度の東大生が多数いることから、努力の要因も大きいはずです。ただ、個人的にはIQ自体がインチキ指標だと思っていますが。)
 このブログのメッセージ性としては単純です。「サッカー好きの子供に対して、親がおまえは才能がないからサッカーなんかやっても無駄」と言うなということです。そして「サッカー好きの子供が、たとえ夢であるJリーガーになれなくても、サッカーなんか嫌いになったり、世の中をうらんだりすることはないでしょう。だから納得いくまでサッカーをやらせれば」ということです。
 ただ、スポーツと学歴が本質的に違うのは、スポーツはその競技を続けている限り不断の努力が必要だが、学歴は一度手に入れれば、一生楽ができると思っているからでしょう。そんなの都市伝説です。そろそろ東大合格発表が近いですから、次の記事ではそれに関して書きたいと思います。