教育機会のノーサイド2 - 子供はいきなり飛翔する

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※この記事は2月23日に書いています。

 前回は数字の裏づけが必要だと言いながら、今回は『子供はいきなり飛翔する』なんて主観的な表現をします。でも、これこそが教育の本質です。

  • (1) 学校や塾で良いカリキュラムと優れた講師が用意されればそれだけ子供は伸びる。
  • (2) 高額な教育費を払える家庭ほど、より優れた環境が手に入る。
  • (3) 教育費を払えない家庭の子供はかわいそう。←公言はしないが本音、逆に中学受験をさせられる我が家は何て幸せなんだろうという優越感。

 上記の3条件をスポーツに当てはめると。(1) と (2) は必要条件で十分条件でないことがわかります。スポーツは素質だよという意見もありますが、それ以前に何よりも本人がやる気にならないと話になりません。では、本人がやる気になる条件を簡潔にまとめる。『夢』と『ライバルの存在』です。憧れのスポーツ選手がいる、絶対負けられないライバルがいる、それが具体的な形になったとき、子供はいきなり飛翔します。ちょうど、蝶々が芋虫からさなぎを経て飛び立つように。逆に、そうなると (3) の条件でもメキメキ頭角を現してきます。
 多くのプロスポーツ選手とリトルリーグとの関係を見ると、両者にはゆるい相関があっても、必ずしも一致しません。プロ野球でエースをまかされている選手でもリトルリーグのときは補欠だったという逸話はありますし、そもそも高校野球までは無名だったという選手もいます。
 プロ野球なんてドラフト指名される選手は年間50人程度、東大理三よりも狭き門です。それさえもいろいろなルートをたどっています。大学受験なんて東大で3000人、早慶まで含めると30000人も合格するチャンスがあります。他の大学でもかまいません。本人が夢とライバルを求めるのであれば、必ず結果はついてきます。
 大切なのは「子供が飛翔する」ことであって飛翔してない子供にいくら (1) や (2) の環境を与えても無駄です。中学受験のときは12歳なので誰も「飛翔して」おらず、たまたま (1) と (2) と結果の相関関係が高いように思えているだけです。逆に (3) の条件でも飛翔してしまえば、どこからともなく噂を聞きつけて、受験業界が三顧の礼で迎えてくれます。
 子供がいきなり自主性をもって勉強をしはじめるというのは、第二次成長期と密接に関係があり、12歳では早すぎるし、18歳ではほぼ結果はでています。15歳というのは、本人の意識で勉強を始める初期の段階といえます。地方では15歳までは同じ条件で教育が行われているので、飛翔の例が客観的にわかるからです。
 それでは、なぜ首都圏の人にとって、これがフィクションに思えるのか?それを実感できる環境が少ないからです。私立中高に行った生徒が学校の教育が良くて勉強ができるのか自主性があるから勉強ができるのか区別が付かないからです。私は中高一貫に行っても同じ教育内容で6年間に上位と下位に大きな差が開くことから、自主的に勉強できる生徒が伸びているだけに過ぎないと思っています。
 逆に、公立中高は悲惨だとしかいいようがありません。良い教育はなくても悪い教育は必ずあります。従来の公立では、子供が勉強をきっかけとして『夢』と『ライバルの存在』を求めることを頑なに否定していました。これでは、勉強面での飛翔は絶望的です。