絶望高校受験 7 - モンスターの勃興

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 モンスターは1964年に、神奈川県の内陸部、横浜市青葉区に高校募集の男子校として産声を上げました。1966年には早くも中学募集を開始しています。その後、続々と規模を拡大し、小学校や幼稚園、女子部まで開設します。開校わずか7年目の夏に甲子園に初出場し優勝するという離れ業を成し遂げます。
 しかし特筆すべきは、その後、進学校としても実績を伸ばし、中高一貫生の卒業生が出てから7年目で東大二桁合格を達成し、そして、そして、開校36年目、中高一貫生卒業後19年目で東大三桁合格校、すなわち、東大に100名以上も進学者を送り込むモンスターに成長しました。

年度 出来事
1964 高校開設
1966 中学校開設
1971 甲子園優勝
1972 中高一貫一期生卒業
1978 東大二桁合格(13名合格)
1990 東大三桁合格(102名合格)

 私は、新興進学校の成長を評価するときに、中高一貫コースの8期生から14期生までの実績を重視します。この時期の実績がその後の起爆剤となるからです。逆にこの時期に顕著な実績を残せないと、月並みの評価を受け、平凡な進学校として定着してしまうからです。当然、その前提となると1期生から7期生まで実績も大切ですが、最低限、東大合格者をゼロにさえしなければ、その次の7年間に好機が訪れます。
 次に、モンスターの東大合格者数の推移を紹介します。資料がない時期もありますが、その部分は5名未満の合格者数です。

期生 +0 +1 +2 +3 +4 +5 +6
第一周期(1-7) ? ? ? ? 5 8 13
第二周期(8-14) 13 20 22 26 22 37 40
第三周期(15-21) 49 54 52 65 102 90 114

 こんなに簡単に東大合格者数を増やせるものかと感じますが、これは例外的奇蹟でしょう。これ以後、多くの高校が中学募集を開始しましたが、2011年現在、中高一貫生14期までに二桁合格をできた首都圏の進学校はわずか6校にとどまっています。まして、新設校からの東大三桁合格校は今後も登場しないでしょう。そして、その学校名は、改めて言うまでもなく、桐蔭学園です。
 次に神奈川県主要校の5年間計の東大合格者数を紹介します。

1975-1979 1980-1984 1985-1989 1990-1994 1995-1999
栄光 278 318 347 325 298
聖光 57 79 101 178 184
335 397 448 503 492
1975-1979 1980-1984 1985-1989 1990-1994 1995-1999
湘南 317 258 199 153 84
桐蔭 (39) 127 260 481 434
(356) 385 459 634 518

 私立中高一貫校が直接湘南の衰退を招いたとは言えません。聖光学院は東大合格者数を伸ばしていますが、主に栄光学園と競合しています。湘南と競合したのは、同じ高校募集の土俵にある桐蔭学園でしょう。都内私学の影響も無視できませんが、ここでは神奈川県に限定します。桐蔭学園の場合、中入生だけでなく、高入生からも大量の東大合格者を輩出していました。