バトルフィールド千葉と隣接県協定

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 先日の『予言者達 101〜120』で、越境受験は公立高校の実績に影響力は少ないと書きました。この考え自体に変更はありませんが、隣接県協定について調べているうちに、以前から見極めようとしていたバトルフィールド千葉の領域がようやく分かりました。

 隣接県協定とは、入り組んだ県境と交通事情で他県の公立高校に通うほうが便利な場合、隣県同士で公立高校の募集人員枠を融通することです。ただし、年度によって条件が微妙に異なりますし、各県のホームページで調べても毎年更新がかかり、受験側としては多少不安が残る制度です。それでも、この制度によって救われる受験生も多いので、長年続いているのでしょう。
 さて、私が越境入学について感じるのは、越境入学を前提にして受験対策を立てられるかどうかです。教育制度は前例踏襲が多いのですが、毎年更新される制度ですから、ある年度で予想外の変更が入って今までの受験対策が通用しなくなるかもしれません。融通する枠の増減で難易度が急激に変化します。そう考えると、どうしても受験対策に一貫性が持てる私学へ関心が移ります。地元の公立高校が低迷した場合、隣接県協定で他学区の公立高校を目指すよりも、中学受験を選ぶようになります。そうなるとバトルフィールドの出現です。
 以前、私は、バトルフィールド千葉を、公立トップ校から私立校への線的移動と考えていたのですが、千葉県全体の公立高校の大学合格実績を分析していると、広範囲に影響が及ぶ現象だと感じました。バトルフィールドを明確にするには、領域と主要参加校の特定が必要です。


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 まず、南東の隅は間違いなく、千葉県の海浜幕張です。そして北東の隅は茨城県取手市です。南西の隅は都内に入るので、どこでもかまわないのですが、常磐線の関係で日暮里としましょう。そして、北西の隅が決まらないと領域が確定しません。隣接区協定を調べていたら、その場所がひらめきました。交通の要衝、埼玉県春日部市です。そしてそれぞれの隅には、当然有望校が成長します。それが受験地政学*1でもあります。

北西 春日部 開智 東武野田線 北東 取手 江戸川取手
東武伊勢崎線 バトルフィールド千葉 東武野田線
南西 日暮里 開成 JR京葉線 南東 幕張 渋谷幕張

 思えば、この地域は下総の国として一体化していました。昔の国は交通の便でまとめられています。バトルフィールド埼玉が武蔵の国の分断で起きたように、バトルフィールド千葉は下総の国の分断で起きています。交通生活圏と行政圏が分断されたときに、公立校では対応できない地域が出現し、それを埋めるために私立校が成長しバトルフィールドが形勢されるということです。バトルフィールドが俄かに活動を再開したのは、東京都の教育行政が引き金となって関連校の力関係が変化しはじめたことが原因です。