白鴎ショックの舞台裏 - AERA with Kids 2011夏号

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AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2011年 08月号 [雑誌]

大躍進の都立白鴎高校付属中学校・星野校長に聞く
白鴎ショックの舞台裏

 奇しくも『都立一貫校、白鴎ショック』で書いたような事態が起きはじめました。私自身は、以下に書いたように色々な思いがあります。

 できれば、都立一貫校で青田買いをするよりも、公立中の優秀な生徒を公正なルールで選抜する制度、私立中に入ったものの学校との相性が悪く実力が発揮できない生徒を受け入れる制度、高校受験で改革すべき制度は多数あります。しかし、やはり私立側、特に都内私立側の慢心を見るにつけて、ショック療法も必要なのかなと思います。伝統と立地の利便性、都内ブランドだけで中学受験で生徒を青田買いし、大学合格実績が向上してくると高校募集を停止して、面倒な生徒はすべて公立に押し付けてしまう。その割には(一部の私立を除いて)経営努力をしている様子もない、という状況が過去にはあったものです。
 私の一番厳しい予測ですと都内で確実に生き残れる私立男子校は3校しかないと思っています。もちろん、附属校やセレブ校は独自のニッチがあるのでそれほど状況は変わらないでしょう。また、女子校はセレブ指向のニーズも多いので、それほど激流には飲まれないかもしれません。しかし、男子校の場合、激流を覚悟したほうがいいでしょう。
 なるべく多くの学校が生き残ってほしいからこそ、今から各私立関係者は『白鴎ショック』を教訓に、経営努力とシラバス改革をしてほしいのです。来年から、私立一貫校が戦う相手は、旧都立三中(両国)と旧都立五中(小石川)であることを考えてください。
 上記の雑誌を購読していないので、どこまで踏み込んでいるか分かりませんが、広告の都合上、白鴎高校校長の力量だけにフォーカスを当てているものでしょう。しかし、このショックは白鴎だけのミクロに留まらず、東京都全体のマクロに拡大します。舵取りに失敗して学校群以前の状態に戻される学校も出てくるでしょう。当然、周辺県にも拡大します。埼玉県*1や千葉県から都内に流れ込んでくる300人もの東大合格層の通学ベクトルが激変するのですから、オセロゲームのようにすべてがひっくり返ってしまうでしょう。