桐蔭学園は21年間通算東大合格者数では首都圏トップ10に加わっています。1992年には三桁合格でしたし、1998年でも96名の合格者を出していました。桐蔭学園は今でも多くの高校募集生を受け入れており、4年周期にも影響を受けます。余談ですが、進学指向の多くの私学が、中学募集に特化して、高校募集を排除しつつあるなかで、公立中出身者にも教育の機会を与える姿勢は評価してもいいと思います。さて7年周期ですが、前周期と今周期では、4年、5年、6年、7年、全てで高い相関率を示してしまいました。これは、1999年以後、毎年、実績が右下がりで低下しているので、すべての周期で高い相関関係が出てしまうという皮肉な状況です。桐蔭学園の場合、少数精鋭の男子一貫校として桐蔭中教にトップ層が移動しましたので、今後はこちらが主力になるでしょう。ただ、神奈川県には、栄光、聖光、浅野と優秀な私学男子校がありますので、なぜ、男子だけだったのか理解に苦しみます。少数精鋭の一貫校の設立は評価しますが、共学(もしくは別学同一校)にすべきだったでしょう。この点では社会的責任としてマイナスです。
実は、最近、『神奈川県立高校入試 2013年度より独自入試を廃止、面接必須へ』*1というニュースがありました。本当に残念なニュースです。神奈川県の公教育改革は終わってしまいました。自校入試を作るのが負担という全く公務員らしい後ろ向きの理由です。せっかく、東京都が学区廃止、自校入試導入、公立一貫校という布陣で効果を出し、千葉県ではトップ校の県立千葉高が自ら中学募集に参入するなど積極策を取っています。また埼玉県は浦和高校に加えて、大宮高校が公立としては異例の二桁合格校に仲間入り*2するなど、まだまだ公立高校が元気です。
となると、神奈川県だけが取り残されてしまいます。それでも男子は栄光、聖光、浅野という上位校があり、校風も比較的中立です。ところが、女子ともなるとフェリス、横浜雙葉、横浜共立では、勉強以外にセレブという校風がハードルになり、誰でも気軽に選べる上位の中高一貫校とは言えません。桐蔭学園にとって、中等教育学校(桐蔭中教)の設立はニッチを取れるチャンスだったのですが、ちょっと視野が狭かった気がします。千葉県や埼玉県の私立が新設共学校で続々二桁合格を達成していることから、共学でも上位校は作れたはずです。
- 桐蔭学園、21年間東大合格数 1195、7年周期相関率 42% → 99%
- 桐蔭学園、18年間東大合格数 906、6年周期相関率 37% → 90%
- 桐蔭学園、15年間東大合格数 626、5年周期相関率 85% → 95%
- 桐蔭学園、12年間東大合格数 382、4年周期相関率 54% → 95%
年度 | 位 | 83⇔114 | 年度 | 位 | 42⇔96 | 年度 | 位 | 8⇔42 |
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1991 | 4 | ## | 1998 | 1 | ########## | 2005 | 1 | ########## |
1992 | 1 | ########## | 1999 | 3 | ## | 2006 | 3 | #### |
1993 | 6 | 2000 | 2 | ## | 2007 | 2 | ##### | |
1994 | 5 | ## | 2001 | 5 | # | 2008 | 4 | # |
1995 | 2 | ####### | 2002 | 4 | # | 2009 | 5 | # |
1996 | 7 | 2003 | 6 | 2010 | 7 | |||
1997 | 3 | ### | 2004 | 7 | 2011 | 6 |
*1:http://d.hatena.ne.jp/morubasumomo/20110704/1309769613
*2:公立高校は伝統が優先するので、公立守勢の首都圏で、新興勢力が二桁合格校に参入するのは異例です。